登山家・尾崎隆さんがエベレストで急死!?2011年05月14日

 本日のネット上を含めて日刊各紙が登山家で登山ガイドの尾崎隆さん(三重県亀山市出身 58歳)の死を報じた。中日新聞では日本山岳会の尾上昇会長のコメントも添えた。
 エベレスト登山の最中に不調を訴え下山中の急死だったというが尾上会長は高山病で死ぬような男ではないと断じた。世界的にも知られたアルピニストだった。
 日本山岳会会員だったらしいが最近の名簿にも籍はない。要するに天才的なアルピニストだったのだろう。組織には馴染まず単独か気を許した仲間だけで登山を実践する求道者タイプと思われる。
 面識はないが本を通じて名前だけは知っていた。中公文庫『果てしなき山行』(1986年)を読んだ記憶がある。目次を見ると以下のようにヒマラヤを目指すアルピニストならみなが憧れる山に挑んでいる。33歳で一書を成しているのだからエベレストの山頂付近で死ぬことはこの人らしい死に際だったと思う。
  <目次>
アンナプルナの衝撃
海外の山をめざして
憬れのドリュ・ボナッティ稜
7月のプチジョラス西壁
グランドジョラスはのんびりと
怪峰ムスターグタワーに挑む
友情の山ブロードピーク
恐怖のマッキンリー
チョモランマ北壁登攀
鶴が越える山マナスル
チョゴリ(K2)は夕映え
 フランス人女性と結婚して子供がいると報道で知っていた。一家で外国の登山をテーマに出版されたが最近では亀山で一人暮らしだったと消息を伝える知人のコメントもあった。晩年は登山ガイドで生計を立てていたようだ。
 誰の人生にも果てはある。
 彼の見た夢は登っても登っても果てしなく次々に登高意欲を刺激する高所登山であった。シェルパ以上の体力を自負し、群を抜く登山技術をもってすれば登れない山はなかった。自分本位の面白い登山家人生を送られたと思う。
 尾上昇会長のコメント「山で死ぬことは登山家の宿命」と言った。繰り返すがエベレスト山頂が命の果てだなんて尾崎隆さんらしい。私なら奥美濃の沢の奥で薮に埋もれて果ててしまうのだろうか。みっともなくて何と落差の大きいことだ。