加賀・奥三方山と奈良岳に登る2008年11月10日

 11/8(土)は軽い山行でもと思ったがいい山が浮ばず、ただのドライブとなった。郡上ICで降りてR156を北上する。スーパーのバローで食料を買い出して油坂峠を越える。九頭竜湖の橋の近くで休憩しているとやたらに観光客が多い。対岸をよく見ると全山黄葉の様相である。このままR158を行くより、伊勢峠を越えてわざわざ遠回りして大野市へ行くことにした。
 吊橋タイプの橋を渡る。右折するともう観光客はいない。湖岸のやや狭い道をドライブする。付近から山腹、山頂に至るまで黄葉、紅葉の満艦飾である。空が曇り気味なのがたまに傷であるが雨が降らないだけマシであろう。
 特に伊勢峠付近はブナなどの黄葉が極まった感じで車から降りて堪能させてもらった。こんな美しい黄葉があろうとは。地名は秋生であり、正に秋が生まれた気がした。ここから御伊勢山への登山道を探ったがない。谷を行くしかないようだ。疎林のままなら行けるかもしれない。約1,2Kmある。
 峠を西へ行くと笹生川へと下る。真名川へ行き、R157を北上した。大野市、越前勝山を通過。谷トンネルを通過。白峰村を走る。セイモアスキー場へと入る。旧河内村である。河内千丈温泉を過ぎて更に林道を奥へと走る。間もなくゲートが現れるがチエーンの取り外しができるので入れた。比較的いい道を走ると工事現場の入口で広くなっている。現場は右へ川を渡るようだが奥三方へは施錠のしてない林道を走る。簡易舗装やダートが交互に現れる。危険を感じるような悪路となったところで引き返した。この周辺の黄葉も見事で全山黄葉であった。引き返したのは工事現場の入口の広場で、今夜はここでテントを張って過ごした。
 11/9、朝5時前に起床。食事後、テントを撤収し車で出発。林道の途中で停車した。まだ奥へ走れたが歩くつもりでいたから走れた分だけ時間の節約になる。6時50分に出発した。素晴らしい黄葉を眺めながら歩くと林道の崩壊地に着いた。足場を確保するために岩が削ってあり、フィックスロープもセットされて歩きやすくなっている。もうかなり固まっているのであろう。崩壊地も難なくパス。ここから林道も草生す状態になる。すぐに登山口に着いた。
 登山口を一歩入ると素晴らしいブナ原生林である。大方は散ったが一部名残の黄葉が見られた。ここらをぶな茶屋というのであろう。かなりの急登である。尾根に沿って行き、やがて奥三方山に向かい犀川と直海谷川に跨る稜線を横断し始めた。直海谷川の源流の水のない溝状を横切る。よく掘り込まれた登山道と間違わないために赤い布で導いてある。地元の河内山岳会のボランティアであろう。
 ブナ茶屋辺りは笹ヤブはなかったが源流部は日当たりがいいせいか笹が繁茂している。笹ヤブを刈り払ってある。ここはもう標高1400m近辺。こんなアップダウンを2、3回繰り返す。そのうちの最後の溝の左側にぽっかり空間がありそうなので行ってみると池であった。ここが鏡池であろうか。標識はない。山の池は瞳とも詩的な表現をされるがここも丸くて可愛い。なるほど鏡のようである。
 奥三方山の分岐へは急登を喘がされた。左には常に高三郎山の三つのピークが見守る。石川県の岳人に人気の高い山と聞く。その奥にも奈良岳、見越山、赤魔木古山、大門山の山なみが続く。ようやくの思いで分岐に着いた。標柱があり、直進は奈良岳に向う。右へは奥三方である。すぐに奥三方に向かった。約400mの表示がある。
 奥三方山の頂上に着いた。周囲は樹木が低く、落葉後なので見通しがいい。あいにく高曇りで白山はすっぽり雲の中に隠れている。大笠山も山頂付近が雲の中で見えている樹林帯は霧氷で白くなっている。初冬の山の雰囲気である。先ほどまではドーム形だった奈良岳がここからは尖峰に見える。金沢セイモアスキー場から続く尾根の道は刈りはらいがないために笹ヤブに覆われていた。残雪期にはスキーが使えそうな尾根である。スキー場のリフトが稼動中なら標高1000mまで稼げるから有利である。林道の入口が標高500m、登山口でも830mしかない。車をぎりぎり上げられる所でも750m。スキーは素敵な乗り物である。
 簡単な食事を済ますと下から昨日、口三方岳の登山口で見た親子が登ってきた。遅れて単独行の男も来た。3パーティ8人が山頂に立ったことになる。奈良岳に向って下山を開始。分岐からもしばらくはササヤブが刈り払われて快適であった。奈良岳を結ぶ吊り尾根の鞍部までは刈ってあったが先はヤブがあった。それでも困難なほどではない。大したことはないと登山を続行。小さなコブを越えると益々尖って見えるのは山頂かと期待したが登り切っても山頂ではなく、1561mの前山であった。山頂に近づくと霧氷が見られた。今年初の霧氷の山である。
 先頭が山頂に着いた。もう留まってこちらを見ている。やれやれの思いで登頂できた。三角点があり、奈良岳の立派な石碑が置いてある。かつては故人のTさんとぶなお峠からスキーを走らせ、赤魔木古山でビバークし、大笠山に登ったことを思い出した。残雪期の奈良岳はまるで雪の砂漠だった。出会った石川の岳人パーティーの話では積雪20mにも達するとのこと。今年は少なくて10mくらいとのことだった。そんな話も鮮明に記憶されている。今はヤブが深そうでとても行く気がしない。
 奈良岳から先ほどまでいた奥三方山を見ると堂々としている。風格がある。奈良岳のついでに登る山ではなく奥三方山だけでも満足できるだろう。逆にぶなお峠から奈良岳に来て、奥三方山を往復する気になるだろうか。内尾へ下山するならいいが。そんなことを考えているうちにもう下山である。何しろ、今は日没が早い。
 登る時はどこまでヤブを漕ぐのやらと思った吊り尾根も下るとなれば容易である。時間的にも早い。分岐を過ぎてからも休むことなく下り続けた。高三郎山の三兄弟に別れを告げて再びぶな茶屋を横断する。春ならば花が咲き誇るところだろう。やがて尾根の急下降になり、登山口に降り立った。
 林道まで出ればもう安心だ。荒れた林道を行くと20分余りで崩壊地をパス。ここまでの林道は4WDなら走って来れるだろう。途中にセダンのような車ではアプローチアングルとデパーチャーアングルが長いために路面に当る所があるからである。
 林道沿いの黄葉、紅葉が素晴らしく映える。やや暗いが写真を何度も撮影した。そのうちに車を停めたところに着いた。殆ど林道を歩き通した感じのところである。河内千丈温泉は時間がなくパス。帰路は金沢西ICから北陸道を選んだ。
 名古屋へ向ってから東海北陸道経由もあったし、割引中に気づいた。ETCカードを使って、通勤割引をゲットするしかないが1300円、1350円、1800円と合計4450円也。小矢部経由なら通しで5000円。通勤割引ならいくら節約できただろうか。みみっちい話ではあるが。