川本三郎『今ひとたびの戦後日本映画』を買う2007年09月17日

 岩波現代文庫の文芸125に収録された。原本は1994年に岩波書店から単行本で出版。2005年に中公文庫に収録された。内容的には変らないが巻末に日本映画タイトル索引が追加されて拾い読みが可能になったのは嬉しい。引用のページもあるから関連項目を調べるのに役立つ。
 既に中公文庫版は古本で購入済みであり読んでいる。しかしこの付録に価値ありと同じものであるが購入した。実際、小津安二郎の作品だけを拾い読みする気持ちで居る。それにしてもこの著者は単なる映画評論を超えて社会評論へと飛躍している。映画を娯楽としてだけでなく社会と時代を写し撮る著作物としている。折りしも新潮新書にも長谷部日出雄「邦画の昭和史」が出ている。家庭でいつでも観られるDVDの普及がこうした書物の背景にあるだろう。日本映画から何かを学ぼうとする読者にとってはまたとない好著であろう。

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_ 映画と出会う・世界が変わる - 2007年11月04日 11時03分28秒

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