東京・深川を歩く2007年09月16日

 9/15夜久々に列車の人となった。午後11:55発のムーンライトながらに乗って上京した。東京は3年ぶりである。今日の目的の主な行先は江東区にあるパナソニックセンターの有明スタジオで行われた映画「秋刀魚の味」の上映会とその後に催されたトークショーへの参加であった。しかしそれだけのために上京した訳でもない。以前からそれだけでは行くのがもったいないので先延ばしにしていたミニ観光もあった。
 東京駅へは定刻どおりに到着。5時間余りの苦行に近い乗車であった。そのまま京葉線で越中島駅へ行って下車。徒歩で小津橋を見に行く。かつて小津家が手広く商売をやっていた時代の名残である。富岡八幡宮に立ち寄り参拝した。ここからやはり徒歩で深川1丁目にある小津の生誕地の場所探しに行く。有った有った。今はどうしょうもない所であり偲ぶような雰囲気はない。
 そのまま歩いて川沿いに松尾芭蕉の奥の細道の俳句の札を見ながらあるくと清澄公園だ。多くの都民が遊んでいる。結構緑が多い。小名木川を渡ると隅田川沿いの芭蕉記念館に着いた。まだ時間が早いので土手の外れにある芭蕉庵のあった分室まで往復。ここも早めに開放してくれた。記念館に行くと時間前であるが開放されていた。一通り見学を済ます。これでサブの目的は一応果たしたので会場に向った。地下鉄森下駅から直通バスが日曜だけ運行しているので待つ。
 会場へは約20分。上映開始ぎりぎりで間に合った。道草で遊びすぎたようだ。映画はDVDで鑑賞しているが大画面で観ると迫力がある。他の観客もいるから映画館の雰囲気を思い出す。昭和37年、小津さんの遺作であった。原節子は何故か出演せず、いつもいるはずの子供の姿も見られない。あらすじは晩春、秋日和の踏襲であるがいま一つ淋しい気がした。原節子とは晩春(昭和24年)以来のコンビであるが彼女もすでに中年の域に達していた。その役を岩下志麻が代わってやったことになるが他に出番がないということもあるまい。
 彼の体を病魔が蝕んでいたからか。長年にわたる深酒もたたったのであろう。翌年昭和38年12月12日に他界する。文字通り巨星落つ、ということだった。しかし没後43年経過した今も人気は衰えず、ファンは増えるばかりである。DVDの普及もあるのであろう。
 トークショーは司会、山内静夫氏、三上真一郎氏の三者で繰り広げられて楽しかった。来た甲斐があった。小津ネットワーク会の長谷川氏の世話で他の会員とも知り合いにもなった。意義のある一日であった。