中国山地の山旅② 船通山と花見山2007年05月04日

 関金温泉は弘法大師ゆかりの古湯であった。開湯は1200年以上まえという。旅館は泊まった鳥飼旅館ともう一軒あるだけ。温泉ブームの昨今にしては寂れた感がある。ところが我々山やにはこれは秘湯と見える。忘れられたような雰囲気の山とお湯こそ我々が求めて止まないものである。
 泉源は自宅内にあり、かけ流し。泉温は40度から50度と適温。沸かしもしないし循環もしない源泉そのものである。泉質はラジューム泉で無臭。よく温まる。近辺の三朝温泉もラドン、ラジューム泉でほぼ同じ。近くにウラン鉱石の出る人形峠があり有名。鉱物の影響を受けているのかも。
 本日は明日の天気が悪くなるとの予報に従い、船通山を繰り上げた。関金から登山口のある日南町までは2時間のドライブの大移動になった。 
 登山口までは比較的スムーズに行った。県内の交通量は渋滞を起こすほど余り多くも無い。日南町矢戸では偶然に松本清張の文学碑を発見した。車内でこの辺りの矢戸という地名は松本清張「或る小倉日記伝」(新潮文庫)の中の「父系の指」の舞台ですよ、と話していたら目の前に文学碑の看板があって早速見学したのはいうまでもない。船通山の島根県側の奥出雲には名作「砂の器」の文学碑もあり清張の臭いがする。
 船通山へはR183から県道15、林道を走って整備されたPの近くに登山口があった。山頂へは約1時間以内と昨日の3時間半たっぷりの登山に比較するとお散歩程度。
 日本神話に因む伝説に彩られた名山である。現在は山頂付近に咲き誇るカタクリの山として知られる。登山道で行き交う人、山頂にたむろする人で一杯であった。カタクリも山頂の平坦面の半分を占める群落をなしている。足元にはキクザキイチゲ、イカリソウ、スミレ、キケマンなどの草花も多い。イチイの大木も見ごたえがある。
 深田さんは山格、標高、歴史を名山の基準としたがこの山も入選していて当然の資格がある。中国山地からは大山一つきりであった。ところが深田クラブ編『日本二百名山』JAC選定『日本山三百名山』とも入っていない。関係者の何たる不見識、不勉強か。
 下山後は日南町にある1等三角点の花見山に向った。ここも山麓から8合目付近までスキー場が開発されていた。入口で500円とられた。周囲は山名どおり花だらけ。八重桜、スイセンは道の脇からゲレンデの最上部までびっしり咲いている。その入山料というわけである。
 ゲレンデの中腹のPにクルマを止めた。平坦なところはスイセンの花園であった。多くの家族連れで賑わう。スキーのコースを登るとゲレンデ終点になり、そこからは山道となった。空身のハイカーが多い。前山を山頂と思って駆け上がったら息切れしてしまった。山頂は先のほうに見えてがっくり。約40分で1等三角点の埋まる山頂だった。東屋もある。周囲は春霞で遠望は効かない。
 下山後は宿泊先の「ふるさと日南邑」に向った。すぐ近くである。2年前は町営であったが個人経営に変ったそうだ。温泉こそないが食事はまずまずで中々サービスがいい。素泊まり3800円、2食で2700円締めて6500円である。
 明日はどこにするか、TVの天気予報に気をかけながら検討した。やはり登り難い三国山1252mにすることになった。

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