秋の田の穂の上(へ)に霧(き)らふ朝霞(あさかすみ)何処辺(いつへ)の方(かた)にわが恋ひ止まむ 万葉集 巻二(八八)2022年09月05日

 霧らふとは「(霧・霞(かすみ)などが)辺り一面に立ちこめる。」こと。この流動的な調べ、韻律性が秀逸です。前万葉期の作品は口承だったと言います。そのために記憶しやすくなるまで滑らかな言葉を並べたのでしょう。俳人の芭蕉は舌頭に千転せよ、指導している。韻律性は和歌の伝統です。字余りも字足らずも以ての外。