トヨタ自殺社員労災認める 過密業務とパワハラでうつ病発症 名古屋高裁2021年09月17日

https://news.yahoo.co.jp/articles/0c910a6c878d7e6daf6ed5ae709d9971501984f8

 トヨタ自動車に勤務していた男性社員(当時40歳)が2010年に自殺したのは過密な業務と上司のパワーハラスメントによりうつ病を発症したのが原因だとして、愛知県豊田市に住む男性の妻(50)が労災を認めなかった豊田労働基準監督署の処分取り消しを国に求めた控訴審判決で、名古屋高裁(古久保正人裁判長)は16日、請求を棄却した1審・名古屋地裁判決を取り消し、労災を認めた。

 訴状によると、男性は1990年入社。08年4月から新型プリウスの部品を生産するラインの立ち上げ業務に携わった。一方で、繰り返し上司から叱責を受け、09年10月ごろうつ病を発症。10年1月に自殺した。遺族側は労災だとして遺族補償年金などを申請したが、同労基署は「業務上の疾病に該当しない」として不支給を決めた。

 昨年7月の1審判決では業務内容や上司からの叱責が男性に与えた心理的負荷について「精神障害を発病させる程度の強度であったと言うことはできない」と認定。上司の叱責についても「人格や人間性を否定するような言動は認められない」として因果関係を認めず、請求を棄却していた。

 古久保裁判長は上司の言動について改めて検討。その上で「同僚の面前における大声での威圧的な叱責で、社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃」と判断。叱責が08年末から反復、継続されていることから「精神障害を発病させる程度に強度のある精神的負荷を受けた」とし「業務と自殺との間に相当因果関係があると認めるのが相当だ」と結論付けた。

 判決を受け、トヨタ自動車は「会社として従業員の声を吸い上げ、手を差し伸べることができなかったことは反省すべきであり、残念であります」などとコメント。同労基署は「判決の内容を検討し、関係機関とも協議して今後の対応を決めたいと思う」とした。

 妻は長女(20)とともに、トヨタに対し計1億2300万円の損害賠償を求める訴訟も起こしている。【道永竜命】

 ◇男性の妻「本当に夢のよう」

 名古屋高裁1号法廷で労災を認める逆転判決が言い渡された瞬間、傍聴席からは「よしっ」という声が上がり、拍手が起きた。男性の自殺から11年。判決後に記者会見した男性の妻(50)は「本当に夢のようで信じられない気持ち。主人が亡くなったことはつらいが、今日の日を迎えることができてうれしい」と涙を拭った。

 国は昨年6月、精神障害の労災認定基準に「パワハラ」という項目を加えた。必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責などを「態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃」とし、これが執拗(しつよう)に行われた場合、心理的負荷が最も強いものとして例示。原告弁護団はこの点に着目し、1審判決後、控訴していた。

 この日の判決で古久保正人裁判長は「(パワハラの項目が加わった)認定基準の内容を参考にしつつ総合考慮して判断するのが相当」などとして上司の叱責をパワハラと認定した。

 トヨタ自動車では2017年、当時28歳だった別の男性社員が自殺。豊田章男社長は、男性の上司のパワハラと自殺との因果関係を認め、男性の遺族に直接謝罪した。弁護団の梅村浩司弁護士は記者会見で「トヨタは体質的にパワハラが起きやすい。この程度でパワハラと言われると困ると思うかもしれないが、なくさないといけない」と強調。今回勝訴した男性の妻は「今までも今後もうそのない働きやすい会社であってほしい」と注文した。【道永竜命】

…世界有数の企業ながらいまだこんな前近代的な経営風土から脱し切れていないのかと思う。
 社員や下請けを生かさず殺さずでやってきたが、陰では数多の訴訟案件を抱えているに違いない。しかし、社員の自死による労災認定の訴訟となると世間に隠せない。
 トヨタのコンプライアンスは隠ぺい工作優先であろうか。なぜこんなことが続くのか。まるで行き詰まった宗教団体にも思える。トヨタ社員は辞めるに辞められずに在籍をするのは、そして自死に至るのはなぜか。

一つには世間体である。なぜあんな立派な会社を辞めたのか、と批判される。誰しも難関の入社試験をパスして晴れて入社した。落ちた人も大勢居たから親や身内にとっては誇らしい。何か悪いことでもしたのかと疑われる。

二つには自死した社員は当時40歳だったから住宅ローンを抱えていただろう。すると簡単には転職できない年齢である。大企業の社員のスキルは転職先の業種にもよるが、ほとんど「つぶし」が効かない。トヨタ社内だけで通じる能力である。

三つ目には有名一流大学卒の高学歴であることが逆に足枷になる。本人は大学卒だろう。これで幹部職にもなれず、特にスキルはなく、他社から引き抜きでもされない限りは高学歴は足枷になる高

 おそらく1から3が複合して自死に至ったのだろう。30歳までで未婚なら逃げ場はあるが、40歳では難しい。

 しかし、もう一件のは当時28歳で自死した社員もいる。これもパワハラである。こんな若さでどうして退職しなかったのか、未婚ならやり直しできたのに、と他人事ながら惜しい気がする。この事例も1と3の複合要因であろう。この人は東大大学院であった。地方大学卒から東大大学院卒の経歴をロンダリングと等閑視された。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
日本で一番美しい山は?
ヒント:芙蓉峰の別名があります。

コメント:

トラックバック