山河はや冬かがやきて位につけり 龍太2021年01月23日

「俳句の教科書」からの鑑賞文
https://haiku-textbook.com/iida-ryuta/

 飯田龍太の第一句集『百戸の谿(ひゃっこのたに)』の中の代表作です。飯田龍太が暮らした、山梨の故郷の村での景色を詠んだ句です。冬を迎えた澄んだ空気に満ちた故郷の姿が詠みこまれています。
以上

・・・父の蛇笏の句にも”芋の露連山影を正しうす”がある。山梨県にも多数の川は流れているが湿潤なイメージよりも乾燥した風土の寒さのイメージが強くある。やはり日本海から遠く離れているから湿気が上がる度合いが違う。湿った空気は立山や北アルプスで落とされて八ヶ岳まで来ると湿気のとれた乾燥した空気になるのだろう。どこかに黒々とした岩場も見えており、且つ雪の斜面も明るい日差しに輝くのである。真っ黒に見えた高峰が冬になり雪を付けて輝く。川も山も位置は変わらねど一変したんだなあ、という詠嘆を味わいたい。