創業よりは継承が難し2020年09月20日

 会報の記事に追悼文があった。超有名大学山岳部OBで72歳で病死。税理士であった。死因はがんらしい。約20年前を振り返ると、デフレの最中だった。税理士の取引先は中小零細企業が中心。デフレで年々売上が減ってゆく。借金をすると担保の土地も値下がりするので増し担保が求められる。売って返済しても残債がある。というわけでキャッシュフローが極めて悪い。退職金が出せるうちに廃業しようか、となる。出せる会社はまだいいが、出せないと破産である。
もしも連帯保証人を付けていたり、なったりしていたら破産に巻き込まれる。破産で弁済を超えた部分は即連帯保証人に来る。というか、最初から弁済することになる。できなければ自殺する人も多数いた。年間3万人もの自殺者が続いた中には経済的困難で生きるのを諦めた人もいただろう。
 それに消費増税が追い打ちをかけて来た。
 税理士としてそんな時代を生き抜いて来た人である。しかも親からの取引先を継承してきた。一見楽なようだが、「創業よりは継承が難し」である。年々、顧問先が減ってゆく。破綻した取引先のホローもしなければなるまい。一方で、新規の取引先の開拓も必須である。事務所経営で日々悩むうちに癌細胞がひそかに形成されてゆく。たまには山に登ったらしいが心は晴れなかっただろう。
 ではどんな処方箋があったのだろうか。デフレに打ち克つにはひたすらコストダウンしかない。仕事のやり方の見直し、生活水準の見直し、その他。幸い後のことは有能な息子さんが引き継いだ。そこは救われる。

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