”断捨離”考2020年04月18日

 チャイナウイルス禍の渦中にあり、政府は感染拡大防止に躍起になっている。曰く、外出の自粛、三密の回避だ。要は何もしないで、人に会わずに居ってくれ、というのだ。それでスマホを日がな一日眺めている。

 すると、この時節とばかりにやたら目につくのが「断捨離」の広告である。昔は辰巳渚さんの「捨てる!」技術 (宝島社文庫) が話題になり130万部も売れた。2003年のことである。
 ウィキペディアによるとそれから3年後の2009年にやましたひでこさんが提唱したとあった。辰巳さんの名前はそこにはない。あれから辰巳さんは2019年6月に交通事故死された。今はやましたひでこさんが一人頑張っている。
 さて、スマホのDVDの売り込みのイラスト広告は家中にモノがあふれて片付けられない状況を示している。この状況を打破するためにDVDを買って学んでくださいね。というのだ。2980円を980円にします、と。
 たしかにモノがあふれたイラストを見せられるとかなりオーバーな表現だが一面の真理はある。しかし、疑問なのは、そんなにあふれるまで何でモノを買い込んじゃったのか、だ。

 おそらく断捨離の対象者の多くは女性でしかも主婦層かも知れません。主婦層は家庭の消費財を買うためでいわば企業ならば仕入れ、購買部門です。その前段階のOLはおカネを持ち、購買意欲にあふれています。
 食品スーパーはともかく総合スーパー、デパートはその構造を考えると、消費の構造が良く分かります。主婦らの欲望に合わせて設計されているわけです。
地下2 生鮮食品、おそうざい、いわゆるデパ地下
地下1 土産物
1F 化粧品、ブランド品
2F 女性下着
3F 婦人服、装飾品(宝石、真珠、ネックレスなど)
4F 紳士服、カバン、
5F 家電、PC、スマホ、書籍
6F 和服、和装具、
7F 家具、キッチン、台所用品、
8F 催事場
以上が大体のイメージです。人生で消費するモノの体系です。

 断捨離の対象になるモノは1Fから3F売り場が断然多い。5F以上は耐久消費財なので高額で動きにくいし固定しやすい。断捨離の最たるものは衣服類ではないか。とくに流行が変化する女性用品である。

 断捨離を考える前にまずやることがある。資本主義社会は商品生産の自由競争の元に次々消費を促す。良いものであっても陳腐化して、消費者に買い替えを促す仕組みがある。労働者はまた消費者である。賃金は消費するために与えられる。

 それは広告である。欲望を刺激してそれがないと何だか人生の質が高まらないかの錯覚を与えるようなコピーを考えてくる。売れないと在庫が積み上がり最悪は倒産する。
 政府、行政はメーカー保護のために、環境対策と称し、補助金など付与して消費者にインセンティブを与えてまでも今乗れる車を捨てさせてでもプリウス(代表として)を買わせたがる。
 そして毎日のように消費財の広告が押し寄せてくる。消費者は十分機能を使いこなせないまま次の商品が出てくる。対ぎ次に買わさせられる。

 だから断捨離の断は広告を断つことなのだ。購入を断って、今あるものを大切に使いまわし、最後にボロボロになってから捨てる。

 鶏肉の買い方1つとってもいろいろある。若鶏はほとんど味が無いから塩コショウなど調味料で味をつけて食う。名古屋コーチンなど銘柄鶏は美味しいと思われるが単価が高く、専門店の他、スーパーでは置いてないことが多い。親鳥(ひねどり)は散々卵を産まされて身も硬くなった鶏肉だが味は良いし、単価も安い。
 親鳥(鶏肉)こそ
卵を断ってからも
肉は捨て値で売っている
断捨離の象徴である。

1 テレビを見ない。テレビを持たない。TVの新製品の広告を見ない。

2 新聞を購読しない。購読が止められない場合でも折込広告は読む前に捨てる。

3 インターネットでモノを買わない。多くはカード決裁なので金銭感覚がマヒしやすい。今時は使い込んでから調べたら良い。

 三か条を実践すれば断捨離は自ずと出来る。但し資本主義社会が壊れる。だから企業は大きな市場を常に狙う。この生産と消費の循環の中にわれわれは生きている。