国境の島・対馬の山旅⑦龍良山2020年01月03日

 3日の龍良山はスダジイの原始林に象徴するもっとも対馬らしさを残す山であった。それも地元でガイドブックも執筆するNさんの同行を得られてディープな情報が得られたからだった。訪対するまでの情報収集では対馬を深く紹介したガイドブックは皆無だった。それで『分県登山ガイド 長崎県の山』の対馬を担当するNさんに情報収集中と連絡していた。返信があったのは元旦であった。普段は連絡しない手段だった。
 それでも見知らぬ私に同行のお誘いを受けることになった。Nさんは城山か龍良山か、評価が今一はっきりしない龍良山を希望した。Nさんは城山を勧めてくれた。古代の城戸が残り、陸軍の砲台跡も見学できるからだろう。全島照葉樹林に覆われた対馬の山でも特に保存状態が良いとされる龍良山を希望したのは直感である。
 朝8時、宿舎のホテルまでお迎えに来てくださった。同僚の若い女性Yさんも同行してくれた。Nさんの車に同乗させてもらい、厳原町内山まで行く。これまでの北から対馬の南端に近い山だ。環境省のツシマヤマネコの飼育センターの施設がある。ここで野生に戻す訓練をするという。広大なPに止めて林道を歩き出す。すぐに龍良山原始林内に分け入る。高い樹高、大径木の常緑樹が林立する木立である。日光が一切差し込まないから足元は土が出ている。下草も生えない。その上にあまり踏み跡はしっかりしないところもある。スダジイの大木というか古木まで来た。樹齢何百年か。伊勢神宮の神杉が樹齢約600年と聞く。それに単純比較はできまい。

 九州森林管理局のHPには「 豆酘龍良山スダジイ等遺伝資源希少個体群保護林は、対馬下島の南西部、龍良山の北西斜面に設置されており、全域が連続した照葉樹林となっている。植生は海抜350m付近を境に、下方をスダジイーイスノキ林、上方をアカガシ林が成立する。林内には胸高直径1m以上のスダジイを始め、イスノキ、アカガシ、イヌマキ等、天然林に近い照葉樹林は最大級の規模といわれている。
また、平成21年度には、同じ対馬の下島最南端の神崎半島に位置する豆酘内院龍良山神崎スダジイ等希少個体群保護林が、同じく下島の中でやや北部に位置する対馬白嶽アカガシ等希少個体群保護林がそれぞれ同様に類似するスダジイ、イスノキ等照葉樹林であり、これら2つの照葉樹林の保護林が隣接して設定された。
主峰・龍良山(標高558m)は、霊山として島民に崇められている。史跡名勝天然記念物、壱岐対馬国定公園に指定され、年間を通じ登山客も多く見受けられる。また、麓には厳原町が整備した「鮎もどし自然公園」があり、公園から保護林を一望できる展望台、キャンプ場等があり、多くの観光客が訪れている。」と紹介される。

 文化遺産オンラインには「史跡名勝天然記念物
龍良山原始林は対馬下島にあり標高559mで,標高120mの低地から山頂まで,良好な照葉樹林が残されている。低標高地域には,他の地域では人為により破壊されてしまった,スダジイ林が良好に残されている。標高350m以上ではアカガシ林にかわり,山頂付近では雲霧林を形成し,ラン,シダなどの着生植物が多く見られる。低地のシイ林から高地のアカガシ林までの連続した照葉樹林が良好に残されている地域は,日本でも数少なく,貴重なものである。

天然紀念物調査報告(植物之部)第五輯 一五頁 參照
天然紀念物解説 二一七頁
對馬全島中ニテ暖地性常緑樹種ノ最盛ニ發生セル原始林ニシテしひのき、あかがし、うらじろがし、をがたまのき、しきみくすのきやぶにつけい、あをがし、たぶのき、さかき、ひさかき、かくれみの、いすのき、さねかづら、むべ、むさしあぶみ、等發生ス」

 一社対馬観光物産協会のHPには「龍良山は、対馬独自の天道信仰の聖地として立ち入りが禁じられ、千古斧の入ったことのない原始の照葉樹林として、国の天然記念物に指定されています。森の平均樹齢は200年で、スダジイ・イスノキなどが他の地域では見ることのできない巨大な姿を見せています。
 低域部は雰囲気の良い照葉樹木原始林で、1時間程度の散策を楽しめます。
標高558m。登山口から山頂までのコースタイム(休憩除く)は、往路90分、復路75分。」とあり、大体200年くらいだろう。
  
 登山道は西の鞍部に向かって斜めに登り、一部は植林内を横切って鞍部に到達。鞍部から尾根を登ると岩盤の山頂である。三角点は少し先に埋まる。点名は男竜良という。往路を戻る。下山後は飲食店で蕎麦をいただく。
 その後は豆酘の尾崎山の燈台までドライブになった。対馬海流の荒波が直接ぶつかる対馬南端の海岸は絶壁に近い。5年前の薩摩半島の野間岳でも小雪混じりの悪天の中東シナ海の荒波を眼下にみた。今日は晴れているだけましだ。また厳原町まで戻ってNさん,Yさんと別れた。その後で、宗氏の菩提寺である万松院と居城であった金石城跡も訪ねた。