哀悼!登山が好きだった八千草薫さん死去2019年10月28日

若かりし頃の八千草薫さん
 往年の美人女優の八千草薫さんが24日に88歳で死去と報じられた。ご冥福をお祈り申し上げます。
 八千草薫さんの出演された映画で今も記憶にあるのは1957年豊田史郎監督の「雪国」(原作:川端康成)。主演は池辺良(島村役)と岸恵子(駒子)で駒子の義妹役が八千草薫さんだった。ちょっとくらい役目だが活き活きと演じる姿は印象に残る。あの当時はまだ冬のスポーツのスキーも活発ではなかったから雪国の生活は大変だった。そういう貧しい雪国の愛の物語である。
 川端が逗留し執筆していた高半旅館(現:雪国の宿 高半)の部屋も保存されて見学したことがある。
 映画のはじめは国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。という書き出しの通り、蒸気機関車に引っ張られた客車の中に池部良と八千草薫が座っている場面がある。

【「雪国」 川端康成】
 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
 向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ呼ぶように、
「駅長さあん、駅長さあん」
 明りをさげてゆっくり雪を踏んで来た男は、襟巻で鼻の上まで包み、耳に帽子の毛皮を垂れていた。
 もうそんな寒さかと島村は外を眺めると、鉄道の官舎らしいバラックが山裾に寒々と散らばっているだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に呑まれていた。
「駅長さん、私です、御機嫌よろしゅうございます」
「ああ、葉子さんじゃないか。お帰りかい。また寒くなったよ」
「弟が今度こちらに勤めさせていただいておりますのですってね。お世話さまですわ」
以上
 この中の葉子役である。「駅長さあん」と叫ぶのが八千草さんだった。段々思い出してきた。1957年封切りなのであの頃で26歳だった。ちょうど谷口監督と結婚し山歩きをし始めたころだ。DVDが出てきたらまた観てみよう。

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