台風19号の被災地のこと2019年10月15日

 台風19号は関東甲信越地方に甚大な被害を残していった。特に北陸新幹線基地が水没した写真には衝撃を覚える。クルマでも最近の技術は電子部品のかたまりであるから水には弱い。それなりの対策をしてあると思うが水没までは想定してないだろう。水没したクルマは使えないので買い替えとなるからただでさえ出費が嵩むところへ高額製品の故障は痛い。それにしてもこんなことがあるから電子化した車は買えない。
 週末には戸隠山へ登山の予定なので宿泊予定の民宿に電話で安否を問うと戸隠は風も雨も強かったが被災は無かったというので一安心した。週末には登山道の状況をチエックすることにする。
 それで話は自然に新幹線車両基地の水没の話になった。おばさんの話ではあそこは「赤沼」といって元々水の出やすい地域であり、広い敷地が要るのであそこにならざるを得なかったとの見解だった。
 国地院の地形図でチエックすると、なるほど、赤沼は水害を受けやすいと分かる。山間部を流れてきた犀川(梓川)と千曲川が合流して氾濫を繰り返して出来た平地が長野盆地なのである。そして一つになった千曲川は小布施町辺りで狭い山間の峡谷に流れて行く。2車線が1車線に狭まるから水が滞留し易い。豊野という地名は氾濫河原で作物がよく実ったのであろう。岐阜の輪中の村もなぜそんな地区に執着するかといえば上流の山からの土砂が新たな肥料を運んで作物がよく育つという理由らしい。
 赤沼は千曲川左岸にある。地形図を仔細に眺めると左岸の標高が約340m前後でさらに東の山勝ちに浅川が流れる。源流は飯縄山になる。赤沼の住宅地は332m、浅川の山側も333mしかない。赤沼は浅川と千曲川に挟まれている地形になる。浅川は自然史的には村山付近へ東流していたのではないか。
 それが一つになった千曲川の水勢で土砂が押し流されて合流地が北へ北へと移動した。土砂の盛り上がりが十分でないところが赤沼という凹んだ地形になったと想像する。沢登りすると本流と支流の関係でそんな地形を見ることがある。
 水流が無い時は凹みだけに水が残り沼地になった。千曲川を堤防で囲んでしまえば広大な土地が造成できた。そこに新幹線車両基地や住宅地が造成された。
 破堤すると水は正直に凹んだ地形にたまる。どう対策するか、例えば犀川の水を千曲川と合流する前に長野市の山際に導水トンネルで飯山市辺りまで流すことが考えられる。小布施辺りから放水路をつくり下流へ流すことも考えられる。
 家を買う時住み替える時は、池(今池、赤池、池場、池下、池袋)、沼(沼田、大沼、沼尻)、津島(津は水が集る意味、島は離れた土地)、久手(湿地の意味。作手、大久手、長久手)は土地の状況をよく確認することである。すべて水はけが悪い地形になる。数千万円も出して水没なんて悪夢しかない。