法務相談会(4回目)2019年07月09日

 梅雨曇り、早朝の地下鉄に乗って朝食会の会場のホテルへ。早目に出たが7時を過ぎた。既にテーブルは80%くらいは埋まっていた。高級な食事をした後は恒例のスピーチである。今日のテーマは不動産の動向であった。
 興味深いのは民主党政権時代の2009年から2012年は地価も急落し、安倍政権になるまで全国的にマイナスだったこと。アベノミクスが始動すると東京圏と名古屋圏は軌を一にして上昇を開始、大阪圏は2017年に下落ゼロになり、地方圏も2019年になってようやく頭を出してきた。しかし、この数値はあくまでも平均値で、下がるところは下がっている。
 名古屋圏は駅前圏の開発が一段落、今は栄圏に移ってきた。御園座のタワービル、中心地の丸善はすでに更地、丸栄は取り壊し中、旧東海銀行の本店ビルも取り壊し中、中日ビルも営業を終えて近々のうちに取り壊す。リニア新幹線開通までに大規模な開発ラッシュが続く。
 興味深い話だったが次の予定があり、中座。名古屋市郊外に近い地銀支店の相談会に急いだ。ギリギリで間にあう。女性の支店長さんに挨拶後、すぐに相談者が入室された。
 1 義理の母(亡父の後添いだが養子縁組はしてない)の世話をするために法的な壁をどう解決できるか。すでに亡父の相続は済んでいるが、残された義母が心配という。あちこちであなたには世話をする資格がないという壁に当たったというのだ。姻族関係であり、法定後見の申立てはできる。義母の認知症がどの程度か、客観的に判断するために医師の診断が必須として材料集めを勧めた。
 2 父に代わって認知症の母の成年後見人に就任後、父が死亡。相続手続きを進めるに当たり特別代理人を申立てすることとなった。法定相続情報一覧図も作成済み。申立ての書類のチエックを依頼された。家裁のHPからダウンロードした様式にきちんと入力してあるので形式的に問題ない。
 3 昨年、夫が死亡し未亡人となった。相続は済んだものの2人の子どものうち娘が未婚で、派遣社員の身分が不安という。法的な対応策を求められた。亡夫から相続された財産の内、自宅を売却し、おカネを作って、中古マンションを購入して娘を自立させるために別居したいという。
 小津安二郎の映画「秋刀魚の味」を思い出す。未婚の娘を「便利に使ってきた」と述懐する老父役の東野英治郎は元教員にして今はラーメン屋の主人。娘の将来を案じるが妙案はない。
 話の筋は違うが人生は思いがけない展開をして終わる。本来なら娘の孫を抱く老後を夢想していただろうに。それが秋刀魚のはらわたのほろ苦さを暗示する。
 結局相談者には中古マンションを母名義で住まわせるが、自分の死後は「娘に100%相続させる」と遺言公正証書を提案。ちょっと甘い気がするが・・・。
 予約者5名のうち2名は急用でキャンセル。昼食後、飛込を想定して2時間ほど待機して辞した。平針駅へ向かうバスの車窓からは緑濃く映る水田が広がった。傍らに見えたのは余り苗である。捨て苗ともいうすでに田植えは終わったが、何かの不足に備えて余分に置いておく苗。
   例へれば余り苗めく娘の不憫  拙作