法務相談会(3回目)2019年06月18日

 8時半、広報部長氏の車に同乗し相談会の地銀支店へ。支店長さんらとごあいさつの後、9時きっかりに相談者の来訪を受ける。応接室で様々な悩みを伺った。今回のテーマは遺産相続、成年後見制度、事業承継税制で、あらかじめ地銀が新聞の折り込み広告で募った5名だった。15時の予定だったが30分オーバーしたほど熱心な相談者もいた。
 中でも事業承継の相談者(80歳、男性)は奥様とともに相談に来られた。息子さんに50年育ててきた会社の経営を譲ったものの何か大切な手続きを忘れていないか、という漠然とした不安である。
1 経営権の譲渡の際に顧問税理士の入れ替えがあったことを聞き出した。創業者とともに歩んできた税理士は何でも知っているはず。しかし、若い息子に譲れば過去のノウハウ、財務諸表に現れない数字などすべてが失われる。経理事務員がいるというがリテラシーがあるかどうかは不明。新任の税理士が気が付けばいいが、創業者自身が漠然とした不安に襲われているのだから引き継ぎもなかったのだろう。
 会社の貸借対照表の資産の再評価を提案した。負債は短期的にほぼ絶対的に請求があるが、資産は不良化する。取れるのに取らないとか。社員、幹部の使い込みが発覚することもある。会社名義の不動産だけでも1㎡当たりの地価は50年で3倍以上になっている。これが事業承継税制を申請するには重要な数字になる。
2 創業者の奥様の退職金を未払金勘定に計上。これも注意が要る。既に損益計算書にも計上されている。実施した際に財源として何を取り崩すか。本当は計上する際に資産再評価をして評価益を出して同時にやると良かった。
3 遺言書の作成。兄弟は他人の始まり。今は理解を示し、仲の良い兄弟でも妻のプレッシャーが争う相続を引き起こす可能性がある。両親が存命中は穏やかな家族でも死亡するとどうなるか。
4 経営譲渡の際に登記が済ませてあるかどうか。
5 言い忘れたのは連帯保証人になっていないか、どうか。
 ほとんどは税理士さんの仕事になる。登記も司法書士さんになる。遺言書は当職で対応できる。創業者さんの心の琴線に触れる提案になったかどうか。
 最後の相談者は少し複雑な家庭で、高齢の両親との関係に悩んでおられた。既に司法書士が関与している。死亡した父の後添い(後妻)が認知症で施設入居中で、息子さんに成年後見人を付けてと迫られている。これが理解できないとのこと。先妻の息子さんと後妻は養子縁組していなかったと後悔していたが、姻族関係で4親等内なので法定後見の申し立ては可能。但し、申し立ての費用は申立人の負担とわかると絶句された。精神鑑定があると馬鹿にならない出費になる。
 高齢社会では、精神、肉体とも健全でないと地獄絵のような家族関係が見えてくる。法制(社会の仕組み)、出費、法的サービスの手続き、など知らないと誤解がぎくしゃくした関係をつくる。そんな意味でこのような相談会は社会的にも意義がある。ボランティアでも今後も2回相談員に応募しておいた。

 終了後は地下鉄原駅ギャラリーで風景写真展を見学。何と同窓の写真家だった。事務所に移動、19時からの岳連理事会に出席。岳連も一般社団法人化が日程に上がりつつある。本部ではすでに弁護士が選任されたらしい。設立手続きか、複式簿記の会計書類の作成が軌道に乗るまでか、何かに関与して協力したい。

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