神楽峰へのバックカントリースキーで遭難か?2019年02月17日

 このところ毎年のようにバックカントリースキーヤ―の遭難騒ぎと遭難が報じられるようになった。ゲレンデに飽き足らないスキーヤ―は冬山登山の装備に身を固めて自然の雪山に登山し、パウダースキーを楽しもうという人々である。 
 多分スキー技術は完全、体力もあるし、装備もしっかりしているだろう。情報だって、今じゃスマホで自分の位置が分かる仕掛けがある。それじゃ何で行方不明になるのか。
 やはり豪雪のほどを舐めているとしか思えない。一晩で1m近く降る雪の怖さを知らないんだろう。思えば、友人のI君は北アの遠見尾根の1月の枝沢に粉雪を求めたが雪崩に死んだ。4月以降から捜索を続けたが、遺体が見つかったのは初夏になってからだった。沢の出合の出ブリに埋まっていたそうだ。行方不明が伝わった日も一晩で1mも降った。
 関西学院大パーティーは大長山で下山不能と伝えられたニュースに驚いたが、地元の人は大学生らに入山を引きとめていた。大学の監督はあんな1600m級の山の雪で何で下山出来ないのか、と学生らをなじった。
 ある年の年末、東京の山岳ガイドが数名のお客を連れて、飛騨の北ノ又岳を目指した。しかし、大雪で進めなくなり、かつ下山も出来なくなって救助を求めてきた。これも豪雪の山を舐めた結果である。
 他にも例はある。ほとんどは都会に住む登山者であり、登山ガイドである。日ごろぬくぬくと過ごしていて、登山技術、体力、知識、経験はあるはずだが、それでも遭難するのは一晩で1mも降る豪雪への警戒心がないからだろう。
 先月も妙高山麓にゲレンデオンリーでスキーを楽しんだ。宿のペンションのオーナーは一晩で80センチも降ったと宿周辺の除雪に大わらわであった。マイカーの屋根も3日間で1mは積もっていた。コース外滑走禁止とあちこちに警告板があったにもかかわらず、シュプールだらけだった。しかも外人が多かった。
 今、上越の神楽峰へバックカントリースキーに行った東京のパーティーが帰還できないと報じられている。やはり当日は70センチの降雪だったらしい。吹雪の中をどうして山に向うのか。
 妙高の杉の原スキー場のトップは標高1500mくらいだが、隣の三田原山ゲレンデのトップは1855mだった。リフトを降りるなり、吹雪いていた。しかも寒い。
 神楽峰のスキー場でもリフトのトップでは何とかなる視界であっただろう。進むにつれて、先行者のシュプールも無くなるし、あっても風が強くなれば消えてしまう。スマホはあくまでも位置だけの情報である。方向、雪の深さ、風の強さまでは知らせてくれない。そこは判断力しかない。