南アルプス深南部・房小山を歩く2018年06月16日

 6月も梅雨入りしてからは山に登りがたい。それでも1月から考えてきた山行であった。3/31までは冬季通行止めと知って4月に延期、都合でまた延期になり、ついに平日に行くことになった。
 6/12の午後2時一社に集まり、出発。東名から新東名に入る。平日なのでトラックが多い。SAで一休み。島田金谷ICで降りてR473へ、家山から大井川左岸の県道を経て、上長尾から山犬段への林道に入った。曲がりくねった車道を走る。大札山森林公園までは舗装路だが先は未舗装となった。
 午後6時に山犬段に着いた。早速駒鳥が出迎えてくれた。クルマから綺麗な小屋にマット、シュラフ、食料、水、コッヘル、燃料などを運び込む。まだ明るいので今年の干支の山である山犬段のピークに散策した。
 小屋に戻って食事を済ますともうやることはない。午後8時には就寝しただろうか。ハイボール500MLを飲んだだけだが、夜になるとさらに冷えてトイレにたった。寒くはなく暑くもない快適な小屋生活だ。
 6/13、朝4時、駒鳥が鳴いた。早速起きて朝食の準備、済むと片付けてマイカーに積みこむ。小屋から約400Mほど先にゲートがあるのでそこまで走る。ここで身支度して、5時過ぎに出発。
 林道は整地されて歩きやすい。開けたところからは黒法師岳が文字通り黒い山容で見えた。今日は高曇りである。林道は急斜面を切り取ったせいか、上部からの土砂崩れで埋まっているとこRが何か所かあった。不安定な土砂の上をそーっと乗り越えた。するとその先に黒いものが動いた。熊だった。
 皆さんが一斉に笛を吹き鳴らして追い払った。蕎麦粒山の方へ登って行った。五樽沢のコルへの登り口に着いた。約40分。コルまでは15分と道標にある。ジグザグを切りながらコルへ登った。余り歩かれていないが歩きやすい。コルからは稜線を歩く。ブナなどの喬木が林立する。尾根が広くなると笹が出てくる。落葉広葉樹の疎林の中の笹の道は美しい。
 三合山の分岐に着いた。直進は日本三百名山の高塚山だ。それだけ登山者が多いと思われる。右へ振ると、やや道が狭くなったのは登山者が少ないせいだろう。キレットに差しかかった。痩せ尾根、フィックスロープを伝って攀じ登る箇所もある。何とか頑張ると千石沢のコルに着いた。ここにもブナの巨木がある。そして林道へ下ってゆく道が分かれた。
 千石平は文字通り広い高原台地であった。コンクリートブロック積みの建物を見ると夕立除けのスペースはある。仕切りの隣は便器がむき出しで見える。設置された当時は扉もあっただろう。
 膝くらいの笹の高原で自在に歩ける。千石平で一休みすると多数の虫にたかられた。同行者に虫よけスプレーをしてもらった。その先はすぐに鋸山を経由して広い緑の稜線を歩く。
 東の方に恵那山が見えた。左隣は大川入山か。高曇りだが輪郭ははっきり見える。延ゝ続くブナの森の稜線。立ち枯れの木もある。そしていよいよか、稜線は一段の高さを増す。笹を分けて高度を稼ぐと突然蛇を見たと騒ぐ。見ると蝮だった。枯木色にとぐろを巻いていた。ストックの先で笹を突いて追い出した。
 あと一歩。11時過ぎ、房小山の道標の立つ山頂だった。6時間の長丁場だった。三角点は笹藪に隠れていた。しばしの山頂の憩いを楽しむ。約30分後下山に向けて歩く。登りには気がつかなかった笹に隠れた道が下りでは神経を使った。赤ペンキのマーキングもあるにはあるがぷつんと途切れた平坦なコブがあった。1725M付近はいくつかの踏み跡かけもの道に分散して不明瞭だった。1572Mへはいったん南東の尾根に回り込んで下る。
 鋸山を経由、千石平へ行く。アップダウンを何度も繰り返すと、次はキレットの通過が待っていた。三合山へ登り返すとやれやれの想いがする。約35分で五樽沢のコルに着いた。ここから林道へ下ればあとは林道をたどるのみだ。所が好事魔多し、で先頭が別の道に入りかけた。入り口には枯れ枝を置いて先へ行かない工夫がしてあったがそのサインを見落としたのだ。この道は昔の蕎麦粒山の横断道か。今は枯れ枝が散乱し石ころもあるので歩きにく。余り踏まれていないことは歴然としている。
 正しい道は急降下してゆく。林道からはゆったりした歩みになった。危険個所はあるが既に学習した。午後5時20分過ぎにゲート着。下山も6時間かかった。6月の日の長い時期ならでは登山だった。
 また名古屋への長いドライブになった。ダムに水を吸い取られた大井川は川瀬を見せて哀れなものだ。並々と流れる大井川の姿を見たい。