身にしみる桜鯛なる潮汁 拙作2018年04月07日

 もう葉桜になった。それでも天白川沿いの桜並木のぼんぼりに点灯された。だれも通らない寂しい緑道である。蕪村と同時代の俳人・加舎白雄の句をふっと思い浮かべる。

     人恋し灯ともしころをさくら散る

人口に膾炙した俳句である。

 さて、今日は激安スーパーをのぞくと愛媛県産の真鯛のあらが見つかったので求めた。4パックくらいはあった。鯛の刺身も良いが、今夜も鯛の潮汁である。
 3/21以来である。まず下ごしらえで塩を振り、少し置く。鍋に霜降り用のお湯を沸かしておく。別の鍋には昆布を適宜用意して浸しておく。
 熱湯が沸いたらあらを掃除する。血あいは古い歯ブラシで落とす。これが生臭みのもとらしいので丁寧に落とす。昆布の入った鍋も点火。洗ったあらを入れて煮上がるのを待つ。
 結構なあくが出るので掬っては捨てる。火が通ったところで醤油を落とし味を調える。昆布と鯛の上品な出しが効いているので塩味は少なくても美味しい。体にしみわたる美味しさである。

 ところで鯛は季題になるらしい。歳時記には「桜の咲くころ産卵のために内海や沿岸に来集する真鯛のこと。産卵期を迎えて桜色の婚姻色に染まることと、桜の咲く時期に集まることから桜鯛という。」通りであらのパックも多かったのだ。