つるまい図書館へポタリング2017年12月05日

 12/4の編集会議で石岡繁雄の列伝の記事を書きなおすことになった。石岡氏はいわゆるナイロンザイル事件の当事者である。それで資料として『氷壁・ナイロンザイル事件の真実―石岡繁雄が語る』を借りるために自宅から鶴舞まで運動不足解消を兼ねてポタリングした。
 まず天白川沿いのサイクリングロードを走ると両岸とも工事中で通しで走れず、早目に平地に下った。山崎川沿いのサイクリングロードから路地裏を抜けて広い車道に出て図書館に着いたら何と休館日だった。折角、月曜から休館日明けを狙って来たが残念。やむなく自転車をデポして愛知県図書館へは地下鉄で往復した。県の図書館にもある。
 また自転車のデポ地に戻って自宅へ帰った。
 ついでにイヴォン・シュイナード『社員をサーフィンに行かせよう パタゴニア経営のすべて』も借りた。アメリカのアウトドア用品メーカーだ。ここも登山家のハーネスの使い方が悪くて墜落事故があり、遺族は資金力のない登山ガイドからは損害賠償は取れないのでハーネスのメーカーのシュイナード・イクイップメントに請求してきた。アメリカの弁護士はいちゃもんでも堂々と訴訟を起こすから大変だ。シュイナードは設備を社員に譲渡、ブラックダイアモンド・イクイップメントを立ち上げて製品の生産は続行させた。
 ナイロンザイル事件は戦後まもなく前穂高岳で起きた事件で、井上靖『氷壁』のモデルになった。映画にもなった。石岡氏はザイルの研究を続けて、安全なザイルの啓蒙に努めた。PL法制定の契機になった。その顛末を詳細に記載した本である。
 ナイロンザイルの強度を蒲郡の工場で切断試験をした。報道陣にも公開された。試験結果は切断せず、だった。ところがおかしいと思った石岡氏側の人がこっそり工場に忍び込んで試験器具を調べたら角を丸めてあることが判明して大騒ぎになった。
 ザイルメーカーは東京製綱、ザイルの素材メーカーは東洋レーヨンであった。事前に口裏を合わせて切断されないように角を丸めた確信犯だった。こちらはいちゃもんではなく実証済みである。実験の責任者だった篠田軍治氏はあれは登山用ザイルではなく魚網の試験だったと言い逃れた。
 鋭角で切断する欠点ははっきりした。これだけはっきりするとメーカーはもう言い逃れできない。東京製綱はいつしか消えた。東洋レーヨンは1970(昭和55)年に東レと名称変更した。企業はつくづくメンツ(利益)を重んじて、たとえ多数の人命が失われても真実を隠蔽するものだという原点のような企業だ。
 試験後もザイルの強度を信じて使用した登山者が次々墜落死したのだった。東海地方だけでも名大山岳部、名古屋山岳会、愛大山岳部の3名が死んでいる。
 ひところ、企業の社会的責任論が広まったが今再び無責任な企業が表面化してきた。東レも再び聞いた。