NHKウィチュウ「ゆる山へGO」録画登山行2017年04月29日

 山岳会の先輩筋から「ゆる山」に出ないか、と話があったのはかなり前のことになる。漠然とした話なのでなかなかイメージもつかめなかった。
 平成7年に『ひと味違う名古屋からの山旅』の出版にちなんだ民放TV局出演の経験もあるにはある。あの時はまるっと2日間つきっきりだったが、本の宣伝をしてあげるのだから、と出演料もなくボランティアになった。
 今回も天下のNHK様であり、山岳会経由なのでまたボランティアのつもりで引き受けた。ゆる山の候補10座選定以上には打ち合わせも進まず、どうなることかと思っていたら4月中旬になって急速に進展した。
 ゆる山の候補は10座あげて2座に絞り、カメラマンのことを配慮して寧比曽岳を1番手で推薦。2番手に岩小谷山を推薦。展望と手軽さを優先して岩小谷山に変更、下見にびわくぼ峠に登山してみたが、重たいTVカメラを携えては危険と察したので再び寧比曽岳に変更した。
 下見登山は4月21日に制作会社の担当者と同行して無難に終えた。当初、4月29日に予定したが、天気が変わりやすいので28日に繰り上げてもらった。 
 28日は快晴になった。朝4時半起床。マンションの窓から見ると東の三河高原の方が朝焼けしている。北風でやや寒そうだ。熱いお茶を飲む。テルモスにも熱いお茶を入れた。お茶は橋幸夫大使推薦の静岡茶である。朝食と久々にメンパに弁当を詰めた。6時前に出発。NHK前にはすでに1台ごついランクルが止まっていた。歩荷役のHさんだった。舘谷キャスター、カメラ、音声、監督のスタッフ3名と揃い出発。東新町ICから高速をつないで、東海環状に入り、鞍ヶ池PAスマートICから県道にでて足助へ。少し買い物を済ます。県道33を遡ると大多賀峠はすぐだ。ここに歩荷さんと案内の私はマイカーをデポする。
 1台に同乗。段戸湖の登山口に着いた。するとマイカーが半分ほど埋まっている。釣り客でもないが・・・。

 録画撮りはここから始まった。27歳といううら若き舘谷春香キャスターをガイドするという役目でカメラに向かってなにやら台本も持たず台詞をしゃべる。もとよりしゃべるのは得意ではないが思いついたことを言う。道道歩きながらしゃべることになる。林道のゲートから先が裏谷原生林の領域になる。
 ゲートを入った途端、せせらぎの方に大きなカメラを抱えたバードウォッチャーさんが屯していた。ははん、車は彼らだったのだ。なにやら小鳥の営巣地があるらしい。
 そこを離れて少し先で超望遠レンズを持ったバードウォッチャーに出会った。スタッフが声をかける。小鳥談義をする。見せてもらうと鮮明な小鳥の画像にびっくりする。おそらく何十万円もするだろう超望遠レンズで撮影するのだろう。
 五六橋で右折、トイレの場所から山道へ入る。いよいよ核心部である。せせらぎに沿う山道はこころを癒される。細道がせせらぎに下りているので水辺に近づいた。下見では魚影があったが今日は見えない。ササやぶ越しに若草が見えた。対岸に渡るとバイケイソウだった。流れが変わったので湿地帯になり、少数ながらバイケイソウの群落になったのだ。日光に映えて若草が美しい。
 せせらぎを後に、道々樹木の大きさに圧倒される。樹齢200年から300年ともいう。明治維新の50年前からの樹齢になる。下見の際は芽吹きも少なかったが1週間で森林は若やぐ感じになり、芽吹き、花も増えた。但し、シロモジかアブラチャンなのか図鑑なしでは同定出来ないのが残念。小鳥のコロニーでもあるのか鳴き声も盛んだ。いくらも標高差はなく900mから1000mまでゆったりとした歩みを楽しむ。これが愛知県随一の原生林である。大迫力の映像になったのではないか。
 峠状(菜畑峠)の乗り越しで一服。今までは矢作川水系でここからは豊川水系になる。山腹を巻くように檜の植林帯の水平道を歩く。途中で林道と交差する。そこの枯れ枝の配置から道迷い防止への見知らぬ登山者同士の配慮について説明する。
 さらに進む。湧水は飲んでいいと説明。駒鳥に続いて筒鳥が聞こえてきた。やや小さいと音声さんが嘆く。峠状(富士見峠)の鞍部に着いた。小休止後、1140m峰へ最後の登りが始まる。以前はササをかき分けて登らされたが、刈り払いされて、明るい。比高200mもないのですぐ到着。トイレが更新された。中電反射板を見にゆく。休み場には御料局三角点があった。かつては皇室の御料林の名残だ。
 緩やかに下って少し登り返すと三角点の埋まる山頂である。ここでもカメラに向かって舘谷キャスターと並び登頂の喜びをしゃべる。録画はこれで完了。やっと終わった。
 今日は山頂からのパノラマも素晴らしい。御岳、恵那山、南アルプスの巨峰群、北に目を転じると山霞みの中にぼうーっと浮かんだのは名古屋駅前のビル群だった。舘谷さんも大喜びだった。
 ウィチューでは川柳を募っているので舘谷さんも一句ひねった。私は俳人なので俳句を即興で詠んだ。

  遥かなる(春香)名古屋のビルも霞みけり

 春香さんの名前を織り込むつもりはなかったが結果として織り込んだ。これはオフレコである。

 私はかつて正月休みに4回渡道した。いずれも山スキーが目的だった。その計画の中に春香山もあったがついに叶わぬ夢に終わった。北海道の山は気温が低く、低山でも山麓まで真っ白になる。但し天気も悪いので登頂の実績は少なかった。
 彼女は東京生まれだが、名前から両親のうちどちらかが北海道出身と推察して聞いてみたら図星だった。大抵は父親である。
 誕生して雪ん子のような真っ白な愛娘を抱いた。たちまち故郷の春香山の白皚々(しろがいがい)とした山容が目に浮かんだ。そうだ、春香と名づけよう、と。まったくの想像であるが・・・。

 舘谷春香さんはスレンダー美人である。去る3月のフルマラソンも4時間台で走るとか。ほっそりした体つきはアスリートゆえだった。それなら心肺機能は発達しており、日帰り登山ぐらいは楽にこなせる。今回は入道ヶ岳に続いて2回目になる。さらに登山の面白さを倍増させたようだ。
 舘谷春香さんは文学を志す。川柳以外に小説を書くし短歌も詠むとか。以前の赴任先の富山は万葉集の故地だ。北日本新聞は文学賞を募る。裏日本の人達は筆豆である。そんな土地で4年も住めば物書きになる素地ができるのだろう。実際、山の本でも福井、石川、富山、新潟の岳人は出版をよくする。
 録画は直ちに編集されて7分に集約されるそうな。映像の情報力は半端じゃないからきっと充実したものになるだろう。そうあってほしいもの。
   春更けて足助の山に登るなり

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