島津亜矢が紅白で歌うのは「川の流れのように」2016年12月21日

 先日、恒例のNHK紅白歌合戦で歌う歌が発表された。島津亜矢は美空ひばりの最後の歌になった「川の流れのよう」を歌うことに決定。昨年は「帰らんちゃよか」で好評だった。今年もふるさと熊本向けかなと思いきや意外な歌になった。しかし、良く考えてみると来年は美空ひばりの生誕80周年と分かる。
 NHKはなんとか顕彰する機会を狙っていたに違いない。カバーする歌手は多い。その中から島津亜矢に白羽の矢が立った。歌手生活30周年、ますます円熟味を増す島津亜矢。ファンの数も年ごとに増えている。今年は親切な亜矢友のお陰でみよし市でNHKの歌番組の録画に入場する機会が得られてライブな歌声を堪能した。このイベントは盛り上がった。そのような貢献もカウントされているに違いない。
 日本歌謡史に燦然と輝く美空ひばり!とはいえ、まだそんなに長い伝統があるわけではない。西洋音楽の楽器の普及と歌曲の普及が日本流に昇華された結果であろう。古くから庶民の生活を歌謡の形で歌われてきた。それに曲を付けたものだろう。
 万葉集は天才歌人・柿本人麻呂以後の歌人は人麻呂の模倣という(土屋文明)。俳句は江戸時代に現れた芭蕉を祖述しておるに過ぎんという(高浜虚子)。ならば歌謡曲は天才少女歌手・美空ひばりの模倣というべしか。七色の声音を歌い分けるという美声は最初から完成の域にあったという。
 島津亜矢が美空ひばりの後継者たらんとするには持ち歌のヒットが欲しいところ。この機会に作詞家、作曲家がこれはという歌を提供してやれるかだ。新曲の作詞を観察していると何だか私小説的である。時代をぱっと切り取って大衆の共感を得られる歌詞が欲しい。中国の詩人・杜甫、李白も写実的ながら社会の共感を得たという。杜甫に学んだ芭蕉の「荒海や・・・」の句も誰にも分かりやすくスケールが大きい。
 熊本出身の天才少女歌手も周りの助けが要る。師の星野哲郎亡き今こそ要ると思う。