俳人・夏井いつきのミニ研究2016年09月25日

 本日は天白区の俳句好きの集まり。定年後の2010年5月以来、73回目の俳話会になった。自分を含めても5名のミニ句会である。80歳近い老婦人3名と70歳代の男性1名の構成。
 一般的な選句ではなく、5句から10句を持ち寄り講評してゆく。その中の1人が夏井さんのような講評が良いと言い出した。当方はTVを見ないし、俳句総合誌も書店で立ち読みするだけでめったに読まないから最近のトレンドは知らない。
 自宅に帰って「俳人 夏井いつき」でぐぐると著作が多く、メディアにも露出が多く、かなりの人気のある俳人と知った。そこでミニ研究する。

1 映像化して分かりやすくする。
・・・カメラが普及するまでの時代はすべて言葉で表現しなけれならなかった。今は映像の世紀というから映像の補完的な役目を果たす言葉の斡旋が必要であろう。

2 単語を入れ替える
・・・・講評は句作の狙いに寄り添って添削する。適切な言葉の斡旋で見違えるように良くなることがある。作者からも感謝され他の人からも感動される。これをTVで何千万人の視聴者向けにやれば人気も出るわけだ。

3 名詞を動詞に替える。その反対もある。
・・・・これも添削でよくやる手法である。2と同じこと。但し、文語文法は必要性を度々説くが学習している気配はない。俳句は老年の文学であるが若いころから文語に親しむことで老境に至って突然分かる世界と思う。

4 毒舌家でストレートな物言いはTV向け・・・TVキャラクターの1つ。初心者向けには優しいと言われる。中々言いにくい毒舌でショックを与えるやり方。
但し、夏井さんは
「『プレバト』では、まさにヘタな俳句が出てきて、それを解説添削してくれというのがワタシに与えられた使命だから、それをいつも通りにやってるだけです。
 ヘタなものをヘタと正直に言ってるだけですが、それを毒舌だと捉えるのは、ま、そう思っていただいてもいいでしょう。が、ワタシは、毒舌キャラで売りたいタレントではありませんし、芸能人になろうなどとは思っておりません。
 いよいよ夏井さんが東京進出を目論んで打って出た!なんて噂してる人がいることも聞き及んでいますが、そのような意図は微塵もありません。ワタシはあくまでも俳人ですし、これからも俳人でしかありません。
 今後「毒舌ありき」のお話は一切受けるつもりはありません。「毒舌ありき」の話は、断るワタシの側も、それを期待した相手側にとっても、お互いに嫌な思いをするだけのオファーですから。」ときっぱりしています。

5 夏井さんはバツイチで再婚というのもぐぐると多くヒットしました。俳句は切れを重んじる。そのように指導されるので人生にも切れを入れたのかな。TVでの物言いもはきはきしている。教員になるための指導を受けているから無駄にはなっていないわけだ。主張することを理路整然と説く。少しあいまいにしておきたい男には辛い性格である。

6 昭和32年、愛媛県南宇和郡内海村(現愛南町)生まれ。宇和島東高校卒。
京都女子大文学部卒業後、教師を8年勤めて専門俳人になる。
俳句結社「藍」主宰の黒田杏子に師事。
平成6年に第8回俳壇賞受賞。
平成11年に結社賞を受賞。
愛媛県松山市在住。

・・・・以上の経歴を見ると国文学の教養を持った本格的な俳人と分かる。何より子規と同じ松山生まれであることで俳心がうずくのでしょう。松山は漢学も盛んだった。ということは地域コミュニティ全体が漢詩文の素養をもっているように思う。経済的には豊かでなくとも志の高い人が住んでいるのだ。
 子規の継承者は高浜虚子であるが、もう一方の弟子の河東碧梧桐も優れた俳人だったにもかかわらず、独善流に散ってしまった。層の厚い松山からは今後も俳人が出るだろう。
 
 かつて正月休みに松山市の皿ヶ峰に登山して作った作品を松山市の俳句ポストに投函したら佳作に入選して愛媛人形をいただいたこともある。旅人を喜ばせる仕組みがある町なのだ。
  大いなるブナの枯れ木や皿ヶ峰   拙作

7 俳句は言葉のゲームとしてとらえる・・・只の俳句番組なら飽きられるので一工夫するのでしょう。

8 感じたままを表現するという自由な句作をモットーとしつつも、季語と五七五の定型を守る「有季定型」に則った句作も大切にしている。
・・・これはウィキペディアの文。「藍」の基本精神と思う。

9 人気が出た理由・・・2013年(平成25年)より「プレバト!!」の俳句コーナーの査定員を務め、ゲスト出演者の作成した俳句を容赦ない毒舌ぶりで評価・添削する姿が人気を博し、一躍知名度が上がった。らしい。

 以下のユーチューブで見るとなるほど、こりゃあ人気がでるわい、と思わせるキャラクターの持ち主と分かった。出演者の顔ぶれも異色です。

プレバト
https://www.youtube.com/watch?v=ez7gi9cCT4A

 要するにメンバーの1人は夏井さんの容赦なく毒舌も吐く、切れのいい講評を望まれたのだろう。しかし、毎月同じ顔ぶれでそれをやったら確実に気分を悪くして脱会されるだろう。夏井さんの講評を視聴してみると特別なことは何も言っていない。自分でも言いそうなことばかりである。ここで思い出すのは権威であろう。
 「蠅叩き一誌持たねば仰がれず」じゃないけれど、結社を主宰する、俳句の研究、理論書を書く、句集を出す、TVに出る、総合誌の常連執筆者になるなどが条件になる。

 TVのプレバトは結局は俳句のショーである。夏井さんは番組のシナリオに沿って出演しているだけだろう。笑いをとるのも計算付くなのである。