渥美半島山巡り2016年05月23日

              衣笠山
 このところ、好天続きである。5/21(土)も渥美半島に出かけた。衣笠山の三河湾側の白谷(しろや)の林道や旧道を探るためであった。白谷はとても美しい海辺の里です。衣笠山の急斜面ににはりつくような小さな里です。月江寺も美しい名前です。たぶんげっこうじ、と読ませるのでしょう。入り江を照らす月の光は絵になります。
 検索で衣笠山の古い地図がヒット。衣笠山は真北に伸びた尾根の先端に月江寺があり、破線路があった。今はどうなっているのか探ってみた。残念ながら鉱山でずたずたになっていた。次は八柱神社周辺を探ったが尾根はヤブに帰っていた。クルマで林道衣笠線を走ってみた。4m幅の舗装路で快適なドライブができる。216mの北西のところが急にぱっと明るくなった。ここはハンググライダーの離陸地点になっていた。その周囲も見たが山道が通じている様子はないと諦めた。そのまま216mのコブを回り込むと衣笠山からの山道があった。その延長もさぐるが道は見えない。
 藤七原湿原の方向に下ってみた。見覚えがある分岐に来た。かつては未舗装路を登ってここまで歩いた記憶がよみがえる。そこをパス。しばらくで未舗装路を下る。舗装路そのものが新しいのでいずれは舗装されるのだろう。こうして成果もないまま帰名。
 5/22(日)は早起きしてまた渥美半島まで来た。クルマで見ているだけでは何も得られないので藤七原湿原から衣笠山に登ることとした。5時過ぎに出発し、R302、R23、R473、R23の豊橋港ICから県道2を走って約90kmm、6時半に着く。藤七原の湿地帯の遊歩道を歩くと林道に抜けてそのまま歩く。杉の植林が優勢であるがちょっと登った辺りから右は杉の植林、左の山側はウバメガシの大木もある原生林のようだ。クルマで走っていると観察はできないから目に見えるものも見ていない。216mのコブにつながる破線路の尾根に入る。周囲は常緑照葉樹の灌木になっている。密生して暑苦しいが風はよく通る。海側の風が吹き上げるのだろう。幅5mはある切り開きは何のためだろう。216mのピークにはアンテナが立っていた。そのまま下ると林道との接点に着く。再び軽く乗り越すと林道と行き来できる踏み跡もある。反対側を探るとヤブっぽいが良い道が下ってゆく。それを辿れば林道に下るエスケープルートになる。
 ここから衣笠山までは胸突き八丁の言葉を彷彿するような急登になった。ジグザグになっていないしほとんど歩かれていないので踏み跡も薄い。立ち止まっては登る。しかしゆっくり歩くのは良いものである。足元を見つめることになり、山野草が目に付いた。特にカンアオイである。ギフチョウの幼虫はこれを食べて成長するという。今はより大型のモンキアゲハが盛んに乱舞している。渡りで知られるアサギマダラは昨年10月に三ヶ根山で大量の乱舞を見た。アザミの蜜を吸っていた。そのアザミもここに生えている。どうやら海に近い低山は蝶の生息に適した環境なのだろう。
 急登とはいっても278mの低い山である。それほど喘ぐこともなく山頂の一角の平に着いた。すぐに桟敷岩への分岐である。ちょっと寄ってみた。これは西に延びる尾根の肩に当たる部分で岩記号はない。この程度の岩頭はいくらでもあるのがこの山である。
 渥美半島の低山の山道を整備している「たらめ会」はこうした岩場でも何か由来を調べては小まめに命名しているのであろう。楽に登れるせいもあって芸のこまかい活動ぶりに感心する。
 山頂に着いた。以前はここが唯一の目的地であった。三角点のみならず今は面で歩き回っている。そこそこに通過してたらめ会称する殿様新道を下る。このルートも開削したばかりのころは歩きにくい印象があったがよく歩かれて今はしっくりしてきた。アルミ梯子で林道に降り立つ。遠くから竹の音が聞こえる。登る際に見た獅子脅しまたは添水(そうず)ともいう。これは秋の季語になっている。
 そのまま添水のある衣笠線に下る道もあるが、林道を登り返していくとジョギングコースのある広い道に合流する。ここから左折して小衣笠を経て下山した。ここも幅5mはある切り開きを下る。下りきると沢にでる。藤七原へ直接下れず、一旦県道に出て藤七原のPへ歩くことになる。
 低山の割に水の豊かな山だった。藤七原の湿地は衣笠山の地下水が浸みだしてくるのだろう。これをためて水田も成り立つ。滝頭山も水は豊にある。しかし圧倒的に水量が少ない。だから周囲にはため池の記号が点在する。衣笠山の山頂に祀られていた田原神社奥宮は農業神だろう。今の渥美半島の田地田畑を潤すのは豊川用水である。
           大山山系タコウドへ
 さて、もう一座だめ押しで越戸大山山系のタコウドに行くこととした。県道2からR259へ出て石神の信号で左折。和地で右折すると越戸大山が大きくそびえる。遠くからはガスで霞むが近づくと見えてくる。椛のシデコブシへ右折。シデコブシのPに置く。
 地形図の破線路は古いままで、今は鉄塔巡視路が登山道になっている。前に下った鉄塔巡視路の道を登る。最初の鉄塔まではやや急登になる。右に大きく見えるのは物見岩で右が雨乞山になる。目を転じて、左はのろし山である。緩くなった山道を行く。シダ類が瑞瑞しいみどりに映える。高圧電線の下の枝尾根を歩いていた山道は高度を上げて山腹の道になる。いっそう自然が濃くなる気配を感じる。電線は谷を越してのろし山の右手と椛峠の間を越してゆく。谷間は伐採された様子がわかる。
 巡視路から右手へ雨乞山へ分かれる分岐に着いた。これは以前からあったのか記憶がないので登ってみた。急登をしのいでゆくと小さな尾根を乗り越すが地形図では分からない。いくらも歩かずに椛峠からの道と合流した。5/9のレポートに雨乞山への直登路と書いたのは勘違いであった。椛峠まで行かずにここからも行けるよ、という枝道である。
しばらく登ると泉福寺からの道と出会う。更なる急登をゆくと大きな岩が行く手を阻むようにあるが左を巻いてゆく。いくらもしないで稜線に着いた。左は弁当岩を経てタコウドへ。右は雨乞山だ。右に行く。すぐに達磨岩だ。ここに鳥を観察中の人が居た。しばらく歓談。雨乞山を目指すが物見岩が雨乞と思っていたが一段低いピークだった。あそこまで行くともう下りきった方が良い。それに一度は歩いているので引き返す。タコウドは高土(戸)の読みだろうか。樹林に囲まれた三角点があるだけの静かな山頂だった。弁当岩まで戻って周囲を見ると大変に眺めが良い。先の達磨岩も良い。越戸大山を眺める山である。分岐点からは椛峠に下り、シデコブシPまで歩いた。
 帰路はR259からまた県道2を走った。渚ドライブが良いからだ。仁崎まで来ると思わず車を停めた。仁崎の海岸まで歩いて衣笠山を眺めた。前景に仁崎海岸背景に衣笠山が撮影できた。低山ながら素晴らしい構図である。磯には海藻取りがいたし、小舟を浮かべて一人の漁師か趣味の海釣りかは分からないが絵になる。まるで時間が止まったような気分になる。忙しいという字は心を亡くすと書く。この風景を見るとしばし回復する。急がなくてもいいじゃないか。田原市街地から眺める衣笠山も均整がとれていいが、ここからの風景も良い。

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