夢よりは先へさめたる湯婆哉 也有2016年02月19日

 湯婆はたんぽと読む。湯たんぽの意味。湯たんぽは湯湯婆と書く。冬の季語。句意は明瞭。夢から覚めるより湯たんぽが先に冷めるという。わざわざ「さめる」をひらがなにして、覚めると冷めるの掛け詞になっている。現代俳句は写生を強調する余り、こんな俳諧味がなくなってしまったといえる。
 
 長らく湯たんぽは使ったことがない。山梨県の七面山に登山した際、山上の敬神院の宿坊に泊まった。冬なので湯たんぽを使った。朝はその湯を洗顔に使った記憶がある。最近は見直されているとか。

 俳人横井也有の作。江戸時代は徳川宗春に仕えた尾張藩の重臣だった。病のため若くして現在の名古屋市中区上前津で隠居生活に入る。交差点の近くにその石碑が建っている。

 この調べでふと思ったことは、奥美濃にタンポという1等三角点の山の名前がある。意味が不明だったが、山頂部が見る場所からは湯婆の形に似ているからだろうか。