恵贈!中西健夫『山の本をつくる』を読んで2015年10月02日

 過日の出版記念会でナカニシヤ出版の中西健夫社長に、『新日本山岳誌』の東海支部担当者として、ごあいさつさせていただいた。初めてお目にかかったのはJAC本部の編集者会議の席だったと思うので1999年頃のことか。2005年に無事上梓されてナカニシヤ出版は山岳書の歴史に名を刻んだ。実に15年ぶりのことなのだが印象は変っていない。しかし、社長ももう79歳とあるので、表記の本は山岳書への思いを綴る自分史になる。
 但し、京都人らしく、経営は手堅くて、ナカニシヤ出版の全出版物の10%にも満たないという。確か、京都には1000年企業があったが、それは寺社仏閣の工務店であるが、不動産からの収益で赤字を出さない経営構造だったと記憶している。本当にやりたい事業(好きなこと)で利益を出し続ければ理想であるが、現実は厳しい。リスクの高い『新日本山岳誌』の出版を引き受けたのは意外だったが、堅実経営が背景にあればこそである。暖簾を守りながら手堅く山岳書を出版してきたナカニシヤ出版に敬意を表する。

 内容的には、先述したように趣味の登山に関わる出版の裏話で綴られていて面白い。それに巻末の出版一覧を眺めると結構購入していた。それは私の登山者としての成長と軌を一にする。

①1972年 秘境・奥美濃の山旅
 28歳の頃購入した最初の本。私のバイブルとなった記念的なガイドブック。
②1975年 大台ヶ原・大杉谷の自然
 今でも時々読み返す資料的価値がある。
③1985年 近江湖北の山
 高い山はないが山村の雰囲気も良く近江の良さを教えてくれた。
④1987年~ 鈴鹿の山と谷1~6
 拙宅へも資料提供の手紙をいただいたことがある。何か協力しておきたかった。 
⑤1987年 奥美濃
 高木泰夫氏の著書。原始的登山のフィールドとしての奥美濃の山への誘い。2015年の冬、奥美濃の山へ還られた。
⑥1989年 福井の山150
⑦1989年 山のスケッチ
⑧1990年 飛騨の山(ヤブ山編)
⑨1992年 飛騨の山(国境編)
⑩1992年 近江 朽木の山
⑪1992年 兵庫丹波の山 上下
 著者の慶佐次氏からの恵贈。金糞ヶ岳で偶然遭遇して以来、交友を続けた。
⑫1993年 霧の森
⑬1994年 山城三十山
⑭1994年 近畿の山 日帰り沢登り
⑮1995年 霧の山
⑯1996年 美濃の山 1~3
⑰1995年 近江百山
⑱1999年 沢歩き記録 鈴鹿・奥美濃・白山編
⑲2005年 新日本山岳誌
 東海支部の編集者として関与。90座を担当した。7年間に及ぶ取材、調査、撮影行は北は松本市立図書館、南は尾鷲市立図書館にまで足を運んで文献調査をした。例えば、愛知の最高峰・茶臼山にしても長野県側の資料にも当れ、との高木総編集長の命に従ったからだ。言うのは簡単だがやるのは楽ではない。それでも茶臼山の長野県側の別名にブナ立山の名を収集したことは収穫だった。本来の執筆者の文が消えるほど追加編集して睨まれたのも思いで深い。
⑳2006年 旗振山
 著者からメールで協力を求められて情報提供した記憶がある。
21 2006年 森林はモリやハヤシではない
22 2006年 雲の上で暮らす
23 2010年 飛騨の山 研究と案内
24 2011年 登山案内 一等三角点全国ガイド
25 2013年 登山案内 続 一等三角点全国ガイド
以上。
 25点、30冊以上は私の書架に納まっているわけだ。