南九州一等三角点の山旅② 高隈山(御岳)と甫与志岳2014年12月31日

鴨池港から垂水港に向かう途中から眺めた桜島
 昨晩からの天気予報では午後から雨模様と思わしくない。予定は高隈山だった。他の候補も考えて見た。朝食は6時半からと聞いた。早起きする積りが実際には1時間も遅くなった。食事を済ますと7時半になっている。しかし、レストランの大きな窓から眺めた桜島とその右奥の双耳峰は素晴らしい。高隈山地の一角らしい。はやり予定通り行くべき、と思い直した。現地に行く交通時間をフロントに相談すると意外なアクセス方法を教えてくれた。垂水港からフェリーで行くという方法だった。それだと対岸まで40分の時間で行けた。時刻表を見ると8時15分なら間に合う。車をホテルから200mほど移動して並ぶ。ここのフェリーは観光よりも生活の足になっているようだ。港から離れると桜島が近づき、鴨池港は小さくなる。泊まっているレンブラントホテルは海上から見ると立派なホテルに見える。双耳峰はどんどん近づく。
        鳴之尾牧場へ
 フェリーを降りてから2150円の料金を払う。垂水からはR220を走る。登山口の鳴之尾牧場を目指した。バイパスに入り、高原台地の鶴羽を左折。農道を走って花里町を抜け、NHKの電波塔への道標のある道路に交差点を左折。それからもつづら折れの山道を走った。鳴之尾牧場への道を分けてからは山の稜線に近いかなり高度感のある山岳路で少々恐かった。前方に電波塔の建つ山が見えた。登山口には1台、しばらくすると浜松NOが1台来た。登山口の標高は750mほど。1等三角点の御岳は1181.7m。比高430m登ることになる。約1時間半。
        御岳の1等三角点へ
 丁度10時に出発。全山照葉樹林に覆われた西南日本を象徴するような山の植生である。NHKの電波塔はすぐに着いた。登ってみると石の手水鉢には薄氷が張っていた。降りて、若干下って登りかえす。急登が続く。すると意外にも水場があるので寄った。冬でも少しは湧いている。小石を敷き詰めて水の溜まり場を作ってみた。出発しようとすると浜松の人が着いた。一緒に歩くことになったが彼は軽く登って行く。いつかはなれてしまった。T字の分岐でまた下山の2人連れに会った。分岐は左折。やや緩くなった尾根路を登った。一休みしたいのをこらえながら登ると登頂だ。11時10分だった。先行者が座っていた。彼以外は誰も居ない。素晴らしい展望である。そして、大箆柄岳(おおのがらだけ)をはるかに眺めて御岳だけにした。ここから往復4時間はかかるだろう。すると登山口まで50分として、17時に近くなってしまう。南国だからといって日照時間が延びるわけではない。日没につかまらないようにするには断念することだ。それに早くも空は怪しくなってきた。11時20分、踵を返すように下った。
         甫与志岳1等三角点へ
 まだ12時だ。このままホテルに帰るには早過ぎる。やはり1等三角点の甫与志岳を目指すことにした。南なら少しは天気も良いだろう。ナビがないので道路地図と首っ引きで走った。国道から県道、町から町へ、農村の中を走った。高山川に沿う県道を走ると高山キャンプ場があり、左に登山口の道標はあったが、林道にチェーンがかかって閉鎖。更に登って肝属山地を貫通する二股隧道を潜る。すると久保田川水系姫門川に沿う林道に左折。峠を越えると登山口があった。ここにも先行の福山NOの車があった。好き者は居るものだ。既に2時半。すぐに支度して出発だ。杉の植林地をしばらくで照葉樹林帯の尾根になる。急登が続く。828mを過ぎて下山者に会う。車の人だろう。何も言葉を交わさず、すれ違う。
   唯一人冬山を下りて来る人に会ふ 山口誓子
   冬山に会ひて別れて身を明かさず 山口誓子
 いずれもロープウェイが無かった時代の御在所岳登山の句である。誓子の句には詩がない。即物的である。しかし、孤独になってみるとその句境が良く分かる。気のあった大勢の仲間と登る幸せの中では生まれない句である。御岳で会った人も話しかけても寡黙であった。15時間かけて名古屋から来たんですよ、というと自分は3ヶ月も山から山を歩いているとの話に絶句した。人嫌いだから山に来るのか、孤独を味わいに来るのか、色んな人がいる。
 登山口では凄い風が強かったが、上に上がるともっと強まった。山頂へは60分ほどだったろうか。ついに雪雲につかまったようで、霰混じりの霙が降ってきた。合羽を着た。山頂滞在は5分もかからず下山となった。大箆柄岳を目指していたら既に降られていただろう。下山は早い。元来た道を戻った。山間部の高山川の県道では雨に降られた。肝付町の農村地帯では止んだ。どんな由来があるのだろう。珍しい地名ですね。鹿屋市まで来て給油した。9.5km/㍑だった。3000CCのディーゼルにしてはまあまあの燃費。ついでにオートバックスでスオイル交換も頼んだら何と4500円という。名古屋市の2倍以上とあってキャンセルした。店員も驚いていた。仕入量による地域差があるようだ。
 垂水港まで戻った。すると強風と雨になった。既に暗くなった。また40分船に揺られて鴨池港に行く。着いてすぐに外食に行き夕食を済ます。何とか波乱のあった大晦日の登山が終わった。
 あるサイトにはこうある。
「高隈山に「高隈山」というピークはない。最高峰は大篦柄岳なのだが、これに登っただけで高隅山に登ったということにはならないようだ。この山は古くからの修験道の山で、その「岳参り」というのは白山から横岳・平岳・妻岳・御岳・小篦柄岳・大篦柄岳の七岳を巡ることなのだ。私はこの七岳すべてに登ろうと思っている。」白山ははっさん、と呼ぶらしい。すると、最高峰を逃したからまた来ることになるだろう。今度は6座を縦走するのもいいなあ。ともあれ、御岳の点名は高隈山なので満足したい。

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