週刊ポスト3/29号が山岳遭難に警鐘記事2013年03月23日

 毎週毎週、お色気、政治、経済、社会、風俗、スポーツ、芸能など幅広い最新の話題を提供している週刊誌であるが、その中の週刊ポスト誌3/29に、あら珍しや、山岳遭難の警鐘レポートと称する記事が掲載された。執筆者は柳川悠二氏でノンフィクションライターという。
 これまでに山岳界では見たこともないので、検索すると、FBがヒットした。1976年生まれの37歳というから、新進のライターかな。FBに「今発売中の週刊ポストで山岳救助の記事を書きました(急いで!)。んで、ナンバーでは石川遼のインタビュー記事を書きました。文藝春秋の記事が彼の言葉で綴ったものなら、こちらは僕が取材してきた約4年間の総決算的な感じで書きました。あわせて読んでもらえれば。」の書き込みがあった。
 ヒマラヤを遍歴してきたようなベテランの登山家ではなく、むしろ登山界の外から書かれた。客観的な文章はそのためかも知れない。無遠慮に発言すると人を介してつながりのある人かも知れず、逆襲されるので、中々本音は書けない。
 拾い読みしながら、記事内容に当たってみる。タイトルは「救助者たちも悲鳴をあげる命知らずの登山者たちの「独善」とある。副題は「スマホ遭難」「半袖サンダル入山」続出!--登山ブームの裏側に迫る、とある。
 最初の見出しは「山に帰ってきた団塊世代」で、昨年のGWを題材に展開される。昭和40年代の登山ブームを支えた世代が今、リタイアして山に帰ってきたというのだ。内容的には昨年の事故直後の分析記事の内容を踏襲している。
 
高齢者の身の程知らずの登山を戒めている。

 二番目の「バナナを食べてはいけない」というのだが、これはウソだ。おかしいぞ、と思って「バナナ 痙攣」でぐぐると、あるサイトの記事がヒット。
「けいれん防止には「バナナ」…Why?
 バナナにはスポーツ前 本番にエネルギー素早くチャージできるという他にミネラル そうK、Mg が 豊富に含まれているのです。先ほども書きましたが、これらは筋肉の収縮をスムーズに司る隠れた重要物質なのです。充分に手軽に摂れるバナナ食っていればケイレンは防げます。」
 他の記事もバナナは痙攣予防にいい、という内容ばかりだ。私もバナナは行動食によく持参するが、痙攣したことはない。

 薬剤師の山仲間が奨めるのはツムラの「芍薬甘草湯」です。カネボウからも出ています。

「山登りの最中に、足がつる、つまり痙攣が起こったら、これは確かに「筋 肉の過剰な収縮」が起こっている状態ですから、芍薬甘草湯が効くと思わ れます。こういった薬は、一気に血中濃度を上げて、先制パンチを打った方がよく効くので、私は一日量の3包 を一度に飲むよう奨めていますが、3包 飲むのがはばかられたら、少し時間をおいて飲んでも構いません。よほどひどい状態でないかぎり、3包 飲めばたいがいの痙攣は止まると予想しています。しかし、芍薬甘草湯はあくまで対症療法です。足がつるのにはそれなりの原因があるのです。原因をそのまま にしておいたら、芍薬甘草湯の効果が切れた時点でまた痙攣が起こります。ですから、痙攣がおさまって楽になったら、水分を摂る、塩分を摂るといった方法 で、痙攣を起こす原因である脱水とそれに伴う電解質バランスの崩れの補正を行う必要があります。これにはスポーツドリンクを十分に飲むのが簡単です。あらためて言いますが、単に芍薬甘草湯を飲めば痙攣が治るわけではないのです。」

 北アルプス・薬師岳に登山した際、メンバーが痙攣を起こして登れなくなった。そこで登山道の休み場をキョロキョロ探して芍薬甘草湯の袋を拾い、続々登ってくる登山者に向かって、この薬を持っている人いませんかあ、と叫んだ。すると持っていた女性が1袋くれた。早速飲ませて休むと何とか歩けるというので助かった思いがした。

 普段から低山歩きをしている人ならまず起きない。はっきり言えばトレーニング不足である。有名な山だけを選んでたまに登る人は痙攣を想定して持参しておくにこしたことはない。

 三番目が「無表情の遺体」。救助する立場にたっての発言である。山岳救助は場所が場所だけに二重遭難のリスクを負っている、ということを理解しておきたい。

 四番目は「スマホで山中パニック」。これは私も使ったことがないので知らない。しかし、最近は持っている人が増えているようだ。GPS付きのスマホは現在位置が分かる?らしい。登山用に開発されたものも出ている。ちゃんと地図もでてくるから地形図、コンパスを携行しない登山者がいるのだろう。そこでおきるのは道迷いである。山中では電波の届かないところもあるからパニックになることは想像に難くない。

 最後は登山は自己責任で締めくくる。山中は下界の警察関係者も手が出せないところ。山を熟知した警察官は趣味として登る以外は普通の人である。余り多くを期待できないのだ。

 3/19の愛知岳連の報告でも、昨年、鈴鹿山系で起きた遭難事故は50件あり、5名くらいが死んだ、という。道迷いが殆どらしい。鈴鹿山麓に住む先輩(三重岳連、JAC)の話では四日市西警察署から、毎週のように救助要請があるらしい。
 その先輩の要請で昨年2/18から4/下旬まで、名古屋市の人が行方不明というので捜索協力した。下草が繁茂して捜索が困難になるギリギリのところで遺体で発見された。
 当ブログでも自身の捜索活動をリアルに発信して拡散に務めた。結果、協力者が拡散して、延べ700名の無償による異例の捜索活動になった。1回に付き交通費程度の5千円の報酬でも、350万円の出費になる。捜索保険に加入していても100万円から150万円だから相当な持ち出しになる。
 かつて、北アルプスの八方尾根で逗子開成高校の生徒が行方不明になった。最後まで見つからなかった親は家を手放してまで捜索したという。

 遭難者をそのままに放置しておけないと、鈴鹿を愛する登山者の意地でもあった。通常は捜索費用の多額に家族が驚き、1ヶ月程度で終わる。山岳会に所属しておれば、仲間が無償で引き続き捜索することもある。単独、未組織、未所属だと放置するままで終わる。

 この人の遭難原因は何だったか。単独で、亡くなれば、反省のしようもない。推定をするならば、雪原の濃いガスの中を単独行動し、ボタンブチという断崖とも知らずに近づいて、転落死した。ガスでなければ、転落しなかった。すると原因は気象遭難といえる。
 履物はスノーシュー、GPSも利用されていたらしい。平頂峰の周囲は必ずといっていいほど断崖で構成されている。警戒心が欲しかった。

 登山は、体力、知識、経験、技術、道具ではなく、判断がすべてになる。それなりのリーダーは適切な判断をしている。
 記事の最後はやはり、捜索費用のことを述べている。警察や消防の救助の場合、遭難者が捜索費用を負担することはない。ヘリコプターをタクシー代わりに利用する遭難者もいる。将来的には公共サービスも有料になる可能性もある。捜索救助を含む保険加入が必須になってきた。

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