二村善市さんの作業場全焼2013年03月15日

 中日新聞朝刊の社会面に思わず、あっと、声がでそうになった火災事故の記事を読んだ。山やでも知る人ぞ知る、二村ピッケルの製造元の作業場が3/14に全焼したという。場所は豊田市平芝町四。
 二村ピッケルは鋼鉄を火床で焼いて一本一本手作りされる鍛造品で、登山道具の逸品だ。私も欲しかった。記事によると生産は年間5本から10本という。1本5万円というから使うのがもったいない。登山家の田部井さんのコメントによれば絶大な信頼を寄せていた。彼女も作業場を訪れたという。

 全焼をお見舞い申し上げる。幸い怪我などは無く、1日も早く、作業場の復旧を祈りたい。

 私の母の実家は本格的な農機具を生産する鍛冶屋だった。いわゆる村の鍛冶屋さんだった。祖父も石屋で、今で言うなら土建屋であるが、石を割ったり、削ったりする鏨(たがね)は切れ味が鈍りやすい。そこで、自宅の一角に小さな鍛冶場を造り、仕事が終わるとコークスを熾し、ハンマーで鍛え直していた。子供のころはそこが遊び場でもあった。
 
 恐らく二村ピッケルもそんなイメージの中で造られているはずである。ウッドシャフトは鉈、鎌、鍬の製造そのものの技術が生かせる。鍛冶屋というのは金属加工だけでなく、木工との融合技能である。だから郷愁もある。
 
 尚、記事には「ピッケルは鋳型に金属を流し込む量産型が多い」というが、ピッケルのような極寒地で強度がかかるものは鋳造品ではないはずだ。鋳造品は繊維がなく、脆弱でピッケルには向かない。多分、冷間鍛造かプレスと思われる。

二村氏が運営するホームページ

http://www.sun-inet.or.jp/~zen1/

二村善市さんを紹介するホームページ

http://www.meikoukai.com/contents/town/06/6_44/index.html

http://www.nirayama.com/~suwabe/Pickel/Futamura/F3.htm