暮遅し2012年03月03日

   阿下喜温泉に入湯
雪焼の顔を撫でたり春の風

靴擦れの湯に沁みてゐる春の宵

鈴鹿なる山なみを見し遅日かな

   大貝戸の小屋で
   捜索隊にNさんの父からのねぎらいの言葉あり
父は子の安否気遣う春の夕

春愁や子の捜索を切望す

   いなべ市から西の空、藤原岳の左に金星(宵の明星)上がる
春の星何か言わんとするやうな

春星の瞬くごとし人の世は

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  御池岳を徘徊するごとく捜索す

永き日や還らぬ人を捜索す

人相の変はりし春の雪眼鏡

山頂は雪間や奥ノ平なり

霊仙と伊吹の他は山霞

山うらら忘れ物する人もゐし

雪代の活き活き流る真の谷

春の泥雪で拭き取る登山靴

無線機の音長閑さを破りけり