免疫力とは何だったのか?2011年10月17日

 老年に片足を突っ込む年齢を意識して、この数年というものタイトルに免疫力、ガンの自然治癒といったテーマの本を読んできた。
 それがここへ来て、腸内環境を整える、腸を健康にする、発酵食とつながったテーマの本や雑誌、ムック本の出版が相次いでいる。医者の医学的啓蒙的な本から料理研究家や農家の側からの実地に即した情報発信である。
 雑誌の『クロワッサン』は免疫力をアップする発酵食のすすめ、と題して辰巳芳子さんの顔で売っている。その中の多田自然農場のヨーグルトを試験的に注文してみた。
 私たち日本人の二人に一人はガンで死んでいく。しかも70歳までに病死して長寿を全うできない人も多々いるのだ。特に男は70歳の坂を越えられない、とは肺がんで亡くなったある人の葬儀の場で高齢の婦人たちがささやきあっていた言葉だ。何が高齢社会か、と疑問に思う。
 自分のことを省みても右目が時々異常に痛むので眼科に駆けつけると問診で実は便秘なんですと訴える。すると医者は「アリF」を処方するわね、という。アナリナミンFとは医者用語でビタミンB1B2製剤のことだった。服用するとあっけなく便秘が解消し、目の痛みもどこえやら。
 そこで便秘にならないよう食事に配慮するのだが、仕事などで忘れてしまう。また便秘症状になる。
 風邪を引いたりして抗生物質を処方される。歯磨きで傷つけた歯茎に腫瘍ができたので切除してまた抗生物質を投与される。それも服用すれば治癒するが今度は善玉菌まで殺菌されて腸内環境は最悪の状況になる。またしても便秘を繰り返す。
 この7月はひどかった。切除してもらった腫瘍がまた再発した。また歯科に駆けつけたら再び切開するという。しかし断った。これは生活習慣病だ。歯科医は外科医だから生活習慣病の指導まではしない。体調を整えてからまたきますので・・・と断ると歯科医よりも助手さんたちがうんうんと納得してくれた。歯肉は粘膜の一種だから病変が出やすいとはいえる。腸内視鏡で観察すると健康な人はきれいで、病気の人は変色しているそうだ。
 8月お盆以降は一計を案じて、乳業メーカーのビフィズス菌末を取り寄せて試してみたら3日後には快便になった。ああ、これだったのか。以来、多種のヨーグルトを試食している。生乳が原料のヨーグルトはすぐ反応がある。脱脂粉乳が原料の製品は単なる飲料のようだ。また、ビフィズス菌を配合した製品も反応がいい。
 結局、腸内環境を整えるとは発酵食の元になる善玉菌で満たしてやることだと気付いた。
 子供時代は農家だったから味噌は自家製、漬物も自家製で糠漬けだった。これらの本を読むと糠漬けの効用が説いてある。つまり、糠に乳酸菌があるということ。しかも植物性乳酸菌である。食事の洋風化とは反面で日本人の伝統的なよく考えられた発酵食品を忘れることであった。だから大腸がんが増えるのであろう。
 免疫力アップとは大腸の健康維持である。通じをよくすることを第一としてヨーグルトを食べること、納豆などの発酵食品を食べること、味付けしていない自然発酵の漬物をたべることだったのだ。
 水も都会の消毒された水でなく、山から滲みだす天然水がいい。消毒によって疫痢などから守られてはいるが腸内の善玉菌も減殺しているのではないかと疑うのである。
 山に行ったらせめて山の水をしっかり飲みたい。