奥美濃・小倉谷を溯る2011年09月20日

小倉谷にて
 9/18(日)の16時、栄で合流するてはずだったがW君の指定した好日山荘前は27年ぶりに再開された大津通りの歩行者天国からあぶれた車で渋滞というので明治屋前で乗り合わせた。
 乗るなりああこれで山に行けると嘆息したW君。今シーズンは巡り合わせが悪くて中々沢に行けていないのだった。
 地道を走りながらスーパーに寄って買い出し。重装備はないから至って簡単な弁当で済ます。渋滞気味なので高速に入って美濃ICで降りたが土地勘が全く働かないので右往左往。最近は友人のナビ付の車に乗せてもらっているから地図も持っていない。R418に合流してやっと頭の中のナビに切り替わる。
 目指すは上大須ダムの園地。園地は屋根つきテーブル、照明があり、トイレ(故障で閉鎖中)もあるので夜を過ごすにはもってこいだ。テーブルで一杯やるとやっと落ち着いた。とても涼しい。道路沿いの温度掲示板には29℃、27℃、22℃と下がってきたから標高550mはあるここは20℃を切っているだろう。涼しいより小寒い。缶ビールも2本で満足した。
 9/19(土)の午前4時起床。買っておいた寿司弁当を無理にでも食べる。4時半園地を出る。折越峠を越え、越波(おっぱ)に下る。杉の植林もあるが全体的には落葉広葉樹に包まれた自然豊かな山村である。
 今は住民は冬は町で暮し、夏は戻って畑作などをしているようだ。澤田ふじ子の『けもの谷』にも登場する。この谷全体を鎌倉市の谷戸のような山村自然公園の形で保存することも考えて欲しいものだ。都市住民も出入りして畑作などボランティアができればいい。そのためには村民が権利を県に100年単位で貸すことも必要だろう。
 黒津以南は災害工事で行けず、猫峠を越えると大河原へ下る。少しばかり走ると蝿帽子峠への入り口を通過。その先で再び災害復旧工事のために通行止めになる。そこに黒の軽四の四駆がいたので聞くとルアーの釣師だった。昨日も来たが濁流で引き返したそうだ。今日も川面は波を打って激流に見える。渡渉からして大変そうだ。
 登山口は虎柵を移動して若干奥へ走ってみて、周囲の状況を視察後、準備する。6時半、膝から下への強い水圧に耐えながら対岸に渡る。小刻みな摺り足でグリップを確かに歩く。浮力が付いたらあっという間に流される。
 7時10分、小倉谷の入り口はナメ滝で始まる。水量が多いせいかとても美しい。右岸に巻き道が見える。W君はダイレクトに溯りたいようだが巻いてきた。その先には何と石組みの砂防堰堤があった。ここは左岸の巻き道を辿って懸垂で谷に下りた。
 下りた瞬間、サワグルミ、栃、水ならなどの林立する自然な谷に吸い込まれた。ああ、久々の感触だった。自然とはいっても余り大木ではないから二次林であろう。中間地点には錆びたワイヤーロープが埋まっていたからだ。威圧するような原生林もいいが若々しい二次林もいいものだ。
 908mの左側と蝿帽子峠から流入する谷までが核心部といえる。しかし、肝心な箇所にはワイヤーやトラロープがセットされているので釣師だろうか。渓相はいいのに魚影が極端に少ない。2011.3製造のビール缶やペットボトルのゴミも見た。登山者ならばこんな習慣はないと思うが・・・。贅沢なもので楽に通過すると印象は薄れる。
 時折、むーっと生暖かい風が下りてくる。これは恐らく台風15号が動き出した所為か。午後は雷雨かなと懸念する。
 蝿帽子峠からの谷は顕著な谷だった。ミズヒキの赤白の小花が祝うかのように咲いている。そういえば谷の入り口付近では釣舟草が咲いていた。いずれも秋の草花である。森はまだまだ緑一色であるがあと1月半もすると錦秋の秋に彩られる。この花たちはその先駆けである。
 一休みするために石に腰掛けようとすると茶色の蛇が動いた。おやおやもう枯れ木色に染めているんですか。秋の蛇は俳句の季語で穴惑いともいう。彼岸の頃になると蛇は多数集まって冬眠する。彼岸を過ぎてもまだ冬眠に入らない蛇を穴惑いという。これだけ暑くては蛇もうろたえるだろう。
 分岐を過ぎて後半戦に入る。右からの枝谷は規模も小さくなる。水量も減った。分岐では地形図との照合も楽になった。ダイレクトに上がる谷を詰めた。900m付近から笹も茂る。最後は見通しのよい藪に突入して山頂の一角に着いた。ブナ、栃の大木が多い。潅木も茂ってかえって見通しは悪い。かつては峠から残雪期に何ら苦労もなしに登った県境稜線であるはず。
 高みへ高みへと迷走しながら到達するが越山(おやま)三角点は見出せず。三角点探しは後にして懸念していた下山ルートの確認に動いた。それはすぐに見つかった。それとなく藪をこいだ後は歩き易いものである。しかも古い赤布も見つかる。戻ってW君を下山ルートに導く。12時、戻り際に三角点も発見した。万歳!
 再び高みに戻って梨を食べた。下山に際して落ち着きを取り戻したい。飲むか食べるのが一番である。赤布を目印に山頂を辞した。12時25分下山。ブナの林立する素晴らしい尾根を駆け足で下った。雷鳴、降雨と下山を急がせる。時折、踏み跡を見失うが西へ振ると見つかった。最後は杉林に突入。これも左よりになった結果だろう。渓流の音に引かれて下ると越山谷の堰堤であるが対岸は藪がひどい。
 結局、堰堤の下流に下り、藪を分けたり、水流に従って下った。本流らしい流れも二手に分かれていて2回渡渉した。藪をこいでいくと堰堤工事用の車道に乗りあがった。万歳。しかし、大雨だ。
 とぼとぼR157を歩いてPに着いた。大雨の中を急いで着替えする。全身びしょぬれなのでとりあえず乾いた衣服に替えるとそれだけでさっぱりした。猫峠を越えた。越波では休憩を兼ねて見学した。昔はもっと生気があったがな、と記憶をたどる。

天白川洪水の恐れ!2011年09月20日

 マンションのベランダから天白川の水位を見ると凄いことになっている。1991年、2000年では堤防のすぐ下まで来た。下流の野並地区では郷下川の溢れた水を天白川へ汲み出す機能がマヒして水没した。未だに思い出すのがボートで避難する光景だった。東海豪雨の悪夢である。しかも2回もだ。
 河川敷まで水没しているが今日の水位はまだ少しゆとりはある。消防署から避難勧告が発令され、赤いパトカーが巡回している。いざとなればマイカーだけでも若干の衣料、食材、水を積み込んで高台に避難することになろう。シュラフ、コンロ、鍋の類いはみなマイカーに揃っている。
 明日は台風15号に直撃を受ける可能性が高いようだ。