「ヒマラヤを越える隊商達」を観る2010年12月09日

愛知県美術館8Fギャラリー 22.12.7(火)~22.12.12(日)  
 山岳会会員で画家の杉田博さんから展覧会の案内のハガキが届いた。丸の内の事務所へ行きがけに観る。題名は「ヒマラヤを越える隊商達」で100号の大作である。
 ハガキにはムー峠(標高5600m)を越えるチベッタンのキャラバン隊を描いた、とある。当然、チベットの行商に生きる人物像か、と早合点した。観ると隊商の列は下の方に雪道の上(氷河か)を登って行く様が描かれてはいたが全体構成は露岩の見える白い高峰がキャンバスいっぱいに収まっている。一巡りした際は見落としたほどである。
 この作家はどこまで行ってもスケールの大きな山岳画家なのである。ところでムー峠とはどこにあるのか。ヒマラヤに疎い私にはとんと見当がつかない。検索しても1サイトがヒットするが全体では分からない。
 日本山岳会関西支部の河口慧海の足跡調査のサイトにはモー峠またはモェ峠とも出てくる。標高は5700m、しかし新しい地図では5040mともある。インドからネパールを通り、ヒマラヤ山脈を越えてチベットに旅した河口慧海の足跡を辿るのだろう。すると文献からの想像の作品だろうか。
 ところで「日本表現派」とは聞きなれない一派だが。趣旨にはこうある「日本人の誰もが心の底に流れている内なるものを素直にぶっつけた個性的でオリジナルな生命力に溢れる作品」。という。なるほど厳しいヒマラヤを越えるのだから生命力に溢れた作品であった。