登山における低体温症の恐さ2010年07月16日

 昨年夏、トムラウシ山で8人が亡くなった。今日で一年が経過した。死因は低体温症と報告されている。生き残った参加者は上着を重ねたり、ちびちび食べたりして体温低下を防いでいたからこれは知恵が生きたことであろう。不運にも亡くなった方にはお悔やみ申し上げる。

 低体温症になると無意識になり寒さも感じなくなってかえって上着を脱いだり発狂したりするようだ。映画『八甲田山』でのシーンを思い出す。
 低体温症は山岳遭難の結果である。異常な気象、北海道は本州と緯度的に標高1500mはプラスするくらいに匹敵する。だからトムラウシ山は本州の日本アルプス並みの気温になると考えられる。
 昨年の雲の平縦走を思い出す。薬師沢小屋を出発して雲の平山荘までは大した疲労もなかったが雨、濃霧と寒さで一休み入れてコーヒータイムにした。30分は休んだだろうか。ストーブを囲んでゆっくり休んだ。
 その後徐々に高さを上げていって鷲羽岳は断念したが水晶小屋へは風の中を無難に着くことができた。ここでも小屋のストーブがありがたかった。後で感想を聞くとあの休憩タイムはとてもよかったという。単なる時間ロスではなく体力の温存に役立ったのである。

 先を急がず、寒さを考慮したことは今でもよかったと思う。これもトムラウシ山の事故の直後でもあったからだ。北アルプスなら有人の小屋でもてなしてもらえるが北海道ではリーダーの判断がすべてである。
 「山と渓谷」8月号のP170からP175に当事者のアミューズ社のガイドのインタビューが掲載されている。
インタビュアーは羽根田治氏
 Aガイド 当時38歳 サブガイドの立場で語る
 Bガイド 当時61歳で死亡
 Cガイド 当時32歳
一読してみて驚いたのは長丁場にも関わらず事前のミーティングは事務的な範囲で留まり、充分されてないことである。ガイド同士、たとえ一部でも参加者を交えて説明会を開いているものと思っていたがないようだ。
 ガイド間の統制がない。参加者は山の怖さを知らされていない。登山について責任者がいない。一応Bガイドが古株で年長者でもあるが経験はなかった。
 このにわか体制では登山の中止、停滞など自信を持って指示はできなかっただろう。ガイドの雇用された身分が悲しい。

 代謝の少ない高齢者から順に低体温症になるようだ。

ガイド「この寒さじゃ疲労凍死するかも知れない。ビバークの準備をしよう」「分かりました。参加者にも重ね着を指示します。飴、お菓子など食べるように促しましょう」「食欲のなくならないうちに体力を温存しましょう」・・・・・とはならなかったのだ。

 所属する山岳会で中高年隊員で編成した海外遠征で登山中に急遽ビバークを指示するとパニックになると聞いた。古くから山岳会でならした隊長はびくとしないが中高年から始めた登山者は快適さ、安全性などが保障されないと不満もでるのだろう。
 そんな話を聞いてからリーダー級の人のビバーク訓練に微力を尽くしている。そして焚き火である。
 暖かい衣料、充分な食料と水、そして焚き火ができれば恐がることはない。山ではなによりも落ち着くことである。落ち着けば正しい判断に導かれるし、的確な知恵も出る。

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