美しく残れる雪を踏むまじく2010年02月08日

虚子五句集。昭和19年から。
添え書きに2月20日相模原吟行とある。虚子には「鎌倉を驚かしたる余寒あり」という句もある。関東南部でも結構寒いのであろう。
 動詞/踏む+助動詞/まじ+打ち消し推量を表す未然形/くで構成した虚子らしい技巧的な俳句ですな。滅多に降雪のない相模原に吟行に行ったら残雪がとても美しかった。こんな美しい雪を踏んで汚すことが出来るだろうか。いいえ、とても出来ませんよ。
 昨日登った美濃は板取川の源流の一つの滝波山でしたが朝方は春の雪に覆われた山が青空に映えて綺麗だった。そして泥で汚れのない雪道も家並みも美しかった。立春以降はもう暦の上では残雪期に入る。穢れの無い白い雪を称えるのは太平洋側の俳人には格好の句材であった。