鈴鹿・佐目子谷 沢吟2009年11月28日


  冬紅葉猿も家族で見に来たり

  冬の谷岩に埋め込む遭難碑

  姫ヶ滝冬も巌を削るなり

  ビバークは枯れ葉蒲団を敷きにけり

  枯れ枝をさわに集めよ焚き火する

  炭窯の傍で眠るや枯れ木立

  冬の星見えると叫ぶ外に出て

  ツエルトの屋根を叩くや小夜時雨

  大焚き火かたわらで食う夕餉かな

  水源やクマノトタイラは枯れ木立

  笹枯れて跡にヒカゲノカズラ生う

  誰も見ずイブネクラシの山眠る

  日溜りに憩うやブナの枯木立

  北風に揺れるやタワの道しるべ

  出会う人みな単独や冬の山

  枯ススキ池をぐるりと回るなり

  ひたすらに帰る谷道日短し