西三河・天下峰を歩く2009年10月22日

天下峰の案内
 気になっていた天下峰を歩いてみた。以前に車で近くまで行って数分で登ったことはあったが一度は山麓を含めて歩いてみようと考えていた。10月末ならもう暑くはないだろうとIさんを誘って出かけた。
 R153を豊田市に向かい、松平まで行く。巴川を渡って左折するとすぐに王滝渓谷のPの案内が見えた。もう少し奥へと移動し、妙昌寺の入口がPで終点であった。Pは結構広くトイレもあり、紅葉期は沢山の行楽客で賑わうのだろう。
 車を止めて橋を渡り、妙昌寺への道を見送るとコンクリートで舗装された仁王川に沿う渓谷の遊歩道を歩く。渓谷には巨岩が多く、その間をかなりの水量の水が迸る。渓谷を覆うような樹林は楓類で、紅葉期はさぞや美しいだろう。
 巨岩累々という表現の似合う仁王川の源流は焙烙山や六所山である。山が低いわりには水量が多いし、やや濁り気味である。そんなことを考えながら登って行くと不動山展望台と道標があり、立寄ってみた。片道330mであるが意外に急坂で不動様が祭られている東屋まではコンクリートで舗装されていたが先は落葉で滑りやすい急登になった。高い所に出たが山頂らしい雰囲気はない。ちょっと先に大岩があるので見下ろせる。もっと先まで行ったがボサになって引き返した。
 遊歩道の本道まで戻る。傾斜を増しながら急登を強いられる。山側を見ると番線のネットで大岩を確保している。山が崩れるような大水が出るたびに渓谷に落ちるのだろう。大岩は上流から運ばれたのではなく山腹からの落石なのだった。王滝渓谷は三河には珍しいV字渓谷なのである。山は老年期なのに特殊な条件でこんな地形になったのであろう。両岸からの落石で谷底は岩になり侵食が進まず、堆積物もない。地形図では「仁王川」と印刷された箇所である。
 やがて車道並みの広い遊歩道に合流した。その先は枝分かれして迷わされる。トイレがあり、かつては売店もあったかに思う。園地を突っ切って左へ挙がるとさっき別れた遊歩道と会う。右には赤い立派な吊り橋が見える。ずいぶんお金のかかった渓谷である。その先は椿の園地であり、更に進むと王滝湖であった。この貯水の所為でやや濁るのであろう。ここからは傾斜もやや緩くなる。
 右宮川散策路、直進天下峰といった三叉路の道標がある。ここで初めて天下峰の名前が出た。ササユリの保護地、古美山園地への道標を見ながら行くとついに車道に合流する。右の建物は元は料理旅館であったが今は生涯現役なんとかの看板があるが人影はない。
 しばらく車道を行くと三叉路に天下峰左折の道標が立つ。左折して山間の車道を行くとまた右への道標があるので右折。ぶどう園の間を歩く。広い車道はここまでで先は狭い山道になった。小さな尾根を乗越して下ると石の道標があり、左折する。完全な植林の山道になる。もう傾斜は余りない。ゆったり歩きながらいくと車道に出た。右折してすぐにまた道標があり、折り返すように左折する。すぐに右松平郷、直進天下峰の道標がある。随分小まめな道標であるがないと道迷いは必至である。
 舗装された道を登って行くと天下峰の取り付きに着いた。その先にはクライマーらのPがある。弘法堂へは下るがそこからも右へ登り口がある。戻って岩場への細道に入る。上部の一枚岩は垂直になっているのでクライミングのゲレンデとなっているのだ。道は一旦右へ登り、左へ折れながら大岩の基部に着く。そこには秋葉様、山之神 天下峰の木札があった。岩に沿いながら左へいくと先ほど見送った道と合流する。途端に急になり、丸木の凝木の階段道に喘がされるともう山頂の一角である。
 山頂は大きな岩があるだけのシンプルな所で豊田市方面がよく見える。豊田スタジアムが目印になる。振り返ると右六所山、左は豊田市の元最高峰だった焙烙山が見える。360mの小さな山にしては中々の展望で本来の山頂はこんなものである。Pから道草を食いながら2時間であった。
 昼食後は三角点「仁王」418mを往復。最後は藪であり、三角点の周囲も中電の反射板があるだけで樹林が高く眺めはない。そそくさと引き返す。
 天下峯を下って松平郷への道標を左折。すると安全寺につく。山田の奥には柿がたわわに実る。下ると仁王の村だった。広い車道を行くと県道に合流する。右折すれば王滝渓谷へ戻る。天下峰川にかかる橋から山を見上げた。平凡な山容である。
 そのまま車道を行くが平坦な道だ。左は仁王川であるが王滝渓谷の上流とは思えない。関東辺りでは谷戸という地形である。低い山に挟まれた地形で湿地があり、川が流れ、耕作に便利だった。今でこそ立派な広い田園風景であるがかつては山の左岸の緩斜面を開墾して田地にしたのである。このような地形を片地、片知ともいう。人は山際一杯に住み、日の当るところは田地にしたのだ。
 車道を行くと山際の畑で老婦が一人耕している。どうも大根の植え付けである。時間差を与えて順次取り込むのだろう。若い大根葉は味噌汁の実にもってこいである。そんな話を二言三言話した。息子2人もすでに定年であるがまだ働きにいっているとか。体が鈍るでね、とかどこかで聞いたような話になった。
 車道はやがて朝の三叉路に戻った。すぐ料理旅館が見え、同じ渓谷の道を下った。Pに戻って慌てた。車のキーがない。ないはずだ、付けたままであった。車内のトラブルはなく、ホッとした。それくらい人がいない王滝渓谷であった。