秋の雨2009年09月15日

   
     あじさいに秋冷いたる信濃かな     杉田久女

 朝起きると冷たい雨が降っている。見下ろせばみな傘をさして歩いている。小寒いはずである。まだ9月の半ばというのにもう早々と秋に向って走っていくような季節の移り変わりを見る思いである。
 雨を見て今脳裏に浮ぶのはこの夏に駆け抜けた黒部源流の山々である。おそらくナナカマドはもう紅葉が始まっていよう。この雨が霙か雪か。一足先に冬に入るのを急ぐ北アルプスの世界である。

     啄木鳥や落葉を急ぐ牧の木々    水原秋桜子

 遡行情報はもう充分に集めて検討もしたからもういいがさりとて気温や水温が何度か気になる。持っていく服装が問題である。検索すると9月半ばに遡行した人の記録では水温は5℃であった。源流を突破して水晶小屋(すでに避難小屋)に泊まると翌日はスニーカーが凍結していたという。かつて同じ時期に飯田松川の沢登りで中央アルプスの御所平(標高1700mから1800m)でも沢靴の凍結は経験済みである。夜も朝も焚火で暖まったものである。
 ちなみに岳人10月号別冊2009年版を見ると水晶小屋は9/25で小屋仕舞いになっている。高天原山荘は9/30、雲の平山荘はすでに改装のために取り壊されているだろう。薬師沢小屋は10/10まで、奥黒部ヒュッテも10/12までである。
 幸い富山県の長期予報では大きく崩れることは無さそうである。22日が曇りであるが難関を突破すれば23日は折立に乗り越すだけである。W君は是非赤木沢から薬師沢左又もやりたいと意欲的である。しばれるような沢水に悲鳴を上げながら何とかついていくことになるだろう。
 かつて北海道出身の山仲間が毎年秋になると秋刀魚やマトンをたっぷり食べて体に脂肪をつけるとか話していた。でもないと厳しい北海道の冬を過ごせないからだろう。水温の冷たい北の海で泳いでいた秋刀魚の脂ならば少しは貢献してくれるだろう。今日も秋刀魚を食べよう。これも内側からの準備の一つである。
   
    身に脂つけたし今日も秋刀魚食ふ    拙作

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