「週刊朝日」1/16号を読む2009年01月08日

 1922年に創刊された老舗雑誌でサンデー毎日が同じ年の創刊だからライバル同士になる。小津映画「大学を出たけれど」には就職が決まらず、たしか「サンデー毎日」の表紙を掲げて毎日が日曜の意味でごろごろしていたシーンがあった。共に大恐慌と戦争をくぐリ抜けた雑誌である。
 さて書店をのぞくと「週刊朝日」のタイトルが目に付いた。滅多に買わないけれど「2009年を生き残れ」の特集見出しにひきつけられて読んだ。普段からマークしているミスター円こと榊原英資氏のインタビュー記事が生活者の視点から語られていて読み応えがあった。マスコミの登場はそんなに頻繁ではないが常に目が離せない人物である。ホントは麻生さんよりこの人に首相か財務大臣をやって欲しい気がする。民主党が政権を取ればそうなる機会はある。
 もう一つは『わが友、恐慌』の著者、松藤民輔氏らの鼎談記事も大局観を掴むのに参考になる。他の二氏は学者だが松藤氏は日米の証券会社を転職しながら金融界の実情を知りぬいた人であり、今は金の鉱山会社を経営する異色の論客である。以上の2つの記事とも恐慌はまだこれからと論じている点、大変な年に定年を迎えることになったものだ。
 雑誌のことで思い出したが一昨日書いた「山と溪谷」誌は発行部数を検索すると18万部、「岳人」は15万部という。全部売れれば相当な広告媒体になる。経営母体は川崎家から離れて今はインプレス社となった。是非とも休刊は逃れて欲しいと思う。
 但し、創刊の挨拶にあるヤブ山愛好者への攻撃的な文は気になるところだ。木暮理太郎は田部重治の本の序文に「私達が山に登るのは、つまり山が好きだから登るのである。登らないではいられないから登るのである。なぜ山に登るか、好きだから登る。答えは簡単である。しかしこれで十分ではあるまいか。登山は志を大にするという。そうであろう。登山は剛健の気性を養うという。そうであろう。その他の曰く何、曰く何、皆そうであろう。ただ私などは好きだから山に登るというだけで満足する者である。」と書いた。川崎吉蔵の考えには若さゆえに理想主義的なところもある。
 岳人は折々ヤブ山を扱うがヤマケイでは読んだ記憶がない。創刊の信条を順守しておるからであろう。ヤブ山は毛嫌いされることが多いのは確かだ。ファッションや持ち物も余り消費しないから商業誌には向かない面もある。沢や岩、スキーなら道具の消耗があり、技術もあり、宣伝することで潤う。しかし、ヤブ山と来たら・・・地図とコンパス位で後は軍手と赤布、高いものはない。画してヤブ山入門なるタイトルの本も寡聞にして聞かない。しかし、登山の喜びの大なることはヤブ山にあると思う。一度は特集で冒険してもいいのではないか。