『三重の百山』を読む2008年08月27日

 『三重の百山』なる山岳書を入手した。発行は津・ネージュ山岳会編で2008年3月に刊行。本書は既に2刷であるから相当売れているようだ。装丁は1座見開き2ページで、写真が3枚配される。地図は2.5万図の縮小版のために扱いにくい。地名は小さく、等高線も細かすぎるので目の悪い中高年には辛い。そこが難点である。
 会の代表の吉住友一さんは旧分県登山ガイド『三重県の山』(1996年)も手がけている80歳の超ベテランである。この時は津・峠の会会員であったが直後の1998年に結成したネージュ山岳会が10年の節目を迎えたことも意識されたかに思う。制約のある本は書いても書いても不満がどこかに残るものでこの100山の本で得心の行くものになったであろう。
 自然豊かな郷土の山へのいざない、と副題がある。特に三重県南部は林業の盛んな土地柄で自然が豊かとは思えない。しかし、登山者の目に触れる範囲ならまだまだ自然は残されていると解釈したらよかろう。選定には5つの基準を設け、234座を選んだ。そこから更に100座に絞った。三重県の山をほぼ網羅されたことで百山の本の資格を満たしたといえる。
 所在地マップによると概ね北部の鈴鹿で30座、紀伊山地で30座、その他の地域からまばらに40座が選定されてバランスよく配置されている。特に地元でも余り行かない東紀州は意識的に多めに選定された工夫が伺える。先ずは誰からも好まれる展望のいい山座が選定されたことで好評なのも理解できる。
 個人的には100座中35座が未踏であった。やはり、南部に多いのは交通が不便だったことを考えれば致し方ない。同じ交通費と時間で長野県、岐阜県、石川県の名だたる山へ行けるのだから。好みでいえば台高の「ウグイの高」が入っても良かったと思うが。伊賀市の西教山は『新日本山岳誌』で採り上げて登山道の整備が待たれる、などと書いておいたら本書でも採り上げてあり、山頂の展望台まであることが写真で分かって嬉しくなった。