奥飛騨・尾崎山に登る2008年04月30日

 Nさん宅を午前5時40分出発。名古屋ICから飛騨清見ICまで走る。ひるがのSaから見る大日ヶ岳にももう雪はほとんどない。日本分水嶺を越えても今日は好天である。高速道路に据えられた温度計は7℃を示す。さすがに冷えている。標高1000m級ではまだ新緑には遠い。
 清見から飛騨卯の花街道(県道90)に左折する。至って静かな別荘地の趣きがある彦谷である。猪伏山の長いトンネルを抜けると古川は近い。カーブの多い道は古川町のR41の交差点稲葉までのわずかな谷間が未整備であった。人家が多いので用地買収に手間取ったか。道路財源の税が入らなくなるとこのままということもあり得る。
 稲葉の交差点でR41を左折。しばらく走ると袈裟丸の街に着く。左手に目指す尾崎山が見える。しばし車を停車して撮影した。ふるさとの山らしく畑で耕す人を前景にいい感じである。
 そんな道草を食いたくなるような登山日和である。R41は鷹狩橋の交差点で県道75に左折し黒内に走る。黒内は昔は街道筋だったのか旅籠風の建物の間を行く。桃源郷温泉というオーバーな看板で左折する。JAを過ぎてまた桃源郷温泉の案内が出てきたので右折。2車線の広い農道になる。走りやすい道は果樹園の税収のお陰であろう。
 桃源郷温泉を右に見て直進するが桃畑は今が盛りとピンクの花を咲かせる。まだ幼木であるが道端にも桃の木が植えてありまた尾崎山を背景に撮影である。なるほど桃源郷ではある。
 舗装路が途切れて未舗装路の林道になりすぐに3方向に分れる。真ん中の道の傍らに文字の消えた看板があり近寄ると尾崎山登山道と読めた。以前来た際ははここらに駐車したが今日は後期高齢者を同行しているので先に進んだ。かなりな悪路であるが大きなカーブを経て約500mほどで転回するのに適した道幅になりそこに駐車した。
 駐車地から更に100mほどで林道から山腹に向う登山口があった。先ほど見た樹脂性の尾崎山登山道の看板がある。いきなりの急な道で始まった。しかし足元にはイワカカミ、イワウチワ、ショウジョウバカマなどが開花して春山を演出する。樹上にはタムシバが咲く。一際大きな花に見える。
 同行の後期高齢者殿は花の写真やブナの新緑に歓声をあげながら休み休み登って行く。枝尾根の急な道を終えると尾崎山の骨格のような北尾根に合流しやや緩くなった。マツ科、ブナ科の天然の大木が樹上を覆う。足元のイワウチワは益々増えたしミツバオーレンも混じった。檜に似た落ち葉を拾って裏を見たが白いY字形がないので檜ではなさそうだ。サワラかも知れない。マツに良く似た樹種はトガかチョウセンゴヨウか。
 覚えては忘れ覚えてはまた忘れしてきた自然観察者では当てにならない。断片的な知識を動員しながら登った。登山口から山頂まで直線距離で1.5kmの急な尾根にしては豊かな自然に陶然となる。やがて左に下る廃道の尾根を分けて右折。1078mの標高点らしいコブを越えた。左右は痩せて両側の谷が見える。まだ雪も残っている。淡淡とした新緑が素晴らしい。
 前方の登山者が雪渓を登って行くのが見えた。ここまで来ると山頂はぐっと近づく感じである。後期高齢者殿はスパッツを着けた。雪の上につけられた足跡を踏んで登った。約10分で沢を出て右の尾根に移る。
熊笹の生い茂る斜面を滑らないように横断するとまた直登する。傾斜が緩むと雪が出てきた。最近まで厚い雪が積もっていたのであろう。滑らないように雪に乗った。
 天が明るくなってもう山頂の一角である。前方に電波反射板が見えた。登頂である。登山口から2時間45分のまずは快調のペースであった。1368m。3等三角点は電波反射板の少し先のヤブの中だった。今までの道はどうやらこの関西電力の電波反射板の保守路であったか。地面は芝で休むのにいい。これがなければ熊笹の中で登ることも困難であろう。反射板が北に向くせいで展望も北に開けている。有峰湖方面とやり取りするのであろう。
 金剛堂山、白木峰、戸田峰辺りが見えた。ヤブに隠れるが人形山、白山方面も近いはずである。残念ながら北アルプスは春霞に隠れた。山里では今が桜の開花期である。よほど早い時間帯でないと無理である。或いは時期を早くするかである。
 充分に休んで下山した。下山後は桃源郷温泉に入湯した。以前はりんごの露店があったがりんごはこれから花が咲き始める。山里の遅い春は始まったばかりである。