遠州の山・竜馬ヶ岳と岩岳山に登る2008年04月12日

 目覚ましは5時に鳴っていたがうとうとして出発は6時半になる。名古屋ICは7時ジャストだった。行く先は竜馬ヶ岳。天気予報はまずまずの見込みであるが空は雲が多めである。ラジオからは局地的な低気圧の発生で静岡県西部は一時降雨もあると放送していた。
 浜松ICは8時過ぎに着いた。県道65、R152,R362と走る。山東まではやや車と信号が多くて渋滞気味である。この三叉路でR362とR152が別れて交通量が二分したため放たれたように走り出した。JAのガソリンスタンドのある平城という所でR362から別れてログハウスのペンション・シンフォニーのPに着いたのは10時であった。名古屋ICから152km、3時間の道程であった。
 岩岳山はともかく竜馬ヶ岳まで行けるか不安になった。時間的にも空模様にも嫌気した。どうやら出発時の楽天的な気分は失せた。この山の不機嫌な日に来てしまったようだ。ともかく歩き出すとやたらと遭難注意や駐車禁止注意の看板が目立つ。ここから岩岳山往復は7時間と警告している看板もあった。それでも歩くしかない。空は鉛色であるが木々は新芽が吹き出したばかりである。ミヤマツツジが咲いている。
 若干で林道ゲートを越す。坦々と林道を歩くが何と下って行くではないか。往きはよいよい帰りはぐったりが想像された。林道の傍らにはスミレも咲く。ミツマタの花も咲いているではないか。今は杉、檜の植林であるが昔は和紙原料を生産していたのだろうか。
 1時間で比高約120mほど下った。「岩嶽山ヤシオの里」の塔が立つ。昔はここまで車で来れたらしい。度重なる遭難騒ぎに営林署も切れてしまったか。健脚者のみ来たらいい、という意思表示であろう。少し先で林道の路肩の崩壊があった。13年前の「名古屋周辺徹底ガイド」にはその先から荷小屋峠への道に取り付き、吊橋を渡って登山したし又は岩岳山への尾根を直登した、と案内されている。
 今は手前で沢に下って丸木橋を渡り、小さな尾根に取り付く。急登をこなすとトラバース道になる。小さな滝がかかる沢を越え、最後の水場のある沢も越える。すると古い登山道と右から出会う。立ち入り禁止の札が立つ。山抜けの跡をそろそろと越えたりしながら荷小屋峠に着いた。ここで12時半。若干のエネルギー補給とコーラを飲み干した。
 峠からは鳥居をくぐり、落葉樹林帯の明るい尾根歩きになる。アカヤシオ、シロヤシオ群落のあることを示す看板が目立つ。狭くて急な尾根の急坂を直登気味に登る。残念ながら今は芽吹きさえない。4月下旬の開花期には再訪したいものである。分岐に着いた。12時50分。左へ岩岳神社、竜馬ヶ岳の道標、右へは岩岳山である。
 左折する。小さなアップダウンを繰り返すと狭い岩岳神社の境内である。見えるはずの京丸山も霧の中である。ここをパスして竜馬ヶ岳に向う。落葉広葉樹の明るい稜線歩きである。高度計を見ながら歩くが1350m前後で殆ど登って行かない。それでも時々はギャップを越える。するとちゃんと1400mを越えていて高度が上がっている。周囲の巨木に見とれて撮影する。ヒメシャラの大木もある。ここは太平洋型の混淆林であろう。
 進むにつれて右(東)が唐松林であることに気づいた。この周辺は一時は皆伐されたのである。左(西)はやや小ぶりであるが原生林らしい。そして尾根が段々広くなった。
 ああ!ここが竜馬ヶ原だろうか。落葉樹林の緩斜面が続き、踏み跡も怪しくなって来た。テープが継続的に付いているので何とか迷うことはない。鹿のヌタ場があった。そこを右回りに通過して少しの登りで竜馬ヶ岳山頂であった。13時50分。三角点だけがある。慎ましい山頂である。そして静寂である。風の音、鳥の声、得体の知れない臭いが風に乗ってくる。ここは正しく南アルプスの深南部につながる深山の一角である。踏み跡は薄く訪れる登山者の甚だしく稀な山頂である。
 霧が流れて行く。太平洋の湿った空気が山の冷涼な空気に当り霧になる。今日は局地的な低気圧の影響で云々、といったその低気圧に向って気流が流れ不安定になっているのであろう。
 14時、晴れそうにない山頂を早々と辞した。分岐までは同じ50分の所要時間である。ここから岩岳山を往復した。約30分。入手山経由で下山を試みたが途中で引き返した。急なのと深い霧、それに杉や檜の植林帯で整備された登山道ではない。「立入禁止」の看板も心に引っかかる。道迷いが多いのであろう。今日は単独であることも躊躇させた。
 分岐から峠へ下る際には京丸川側から鹿の鳴き声を聞いた。ガサガサという物音も聞いた。鹿の生息域であろう。「ピィー」という竹笛(或いは簫)のような特長のある鹿の鳴き声が盛んに聞こえた。俳句歳時記の春を読むと「孕み鹿、春の鹿、鹿の角落つ」などの季語が収録されている。春は出産の時期であり神経過敏になっているのであろう。林道へは16時半過ぎに着いた。再び味気ない林道歩き1時間。17時35分にPに着いた。
 ペンション・シンフォニーに立寄った。コーヒーを注文した。居心地の良さそうなログハウスのペンションで一度は泊まってみたい。オーナーと世間話すると最近は1300m級の低山と舐めてかかるハイカーが多いそうだ。そのために遭難騒ぎが絶えないそうだ。地図、コンパスを持たず、持っていても使えない、つまりハイカーである。この山はハイカーが気楽に来れるものではない。宿泊者の夕飯は山菜のてんぷらのようだ。美味そうなてんぷらのにおいが空腹を刺激した。
 温泉を勧められたが時間がないので店を出た。18時過ぎ夕闇迫る遠州奥の山を後にした。道路を素早く横切った動物を見た。近づくと鹿である。目を合わすと向こう側へ逃げて行った。見送りに来てくれたのだろうか。次は竜馬ヶ原で一泊してみようか。

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