映画「たそがれ清兵衛」鑑賞2008年01月09日

 2002年制作の松竹映画。監督は寅さんシリーズで超有名な山田洋次。山田監督初の本格的時代劇といわれる。一回観ただけの感想では心もとないがやっぱり松竹伝統のホームドラマでしたね。
 時代設定が幕末だけにややこしいことですが時代劇ホームドラマという分野を開拓したといえます。原作は読んでいませんが下級武士の生活を描いた藤沢周平の世界というよりは松竹ホームドラマの色彩が濃いと感じます。
 そして昨年来よく観てきた小津安二郎や山中貞雄監督の伝統的な手法が随所に見られておっと、声をあげそうでした。例えば釣りのシーンは「父ありき」のそれです。「父ありき」では二人並んで竹ざおを同じ方向に振っているシーンがあります。そのシーンは思わずにやっとしてしまいます。他に畳のシーンでのローアングルです。正座する人物を仰ぎ見たようなローアングルこそ山中貞雄の時代劇「人情紙風船」で観られたことですし小津さんの現代劇でもよく観られます。
 山田監督は徹底的にリアルに時代考証したようです。月代を剃らない、など身だしなみまで復元を試みられたようです。少し気づいたことは主人公が手にしていた食器=お椀です。映画ではどうも瀬戸物らしいですが当時、下級武士でも瀬戸物を利用したのでしょうか。庶民は木地のお椀だったかと想像しています。木地は東北でも充分手に入れやすいが東北に有力な瀬戸物産地があったかどうか。瀬戸物は窯を作り、大量の木炭を消費します。原料もどこででも手に入るものではないですから高級品だったと想像しています。
 山田洋次さんが小津安二郎という偉大な先輩監督から受けた影響は時代劇の衣装をまとって消そうとしても消せないものでした。松竹の伝統は心温まるホームドラマだったと改めて思います。ほろっとするいい映画でした。岸恵子を最後に時代を超えて出演させたのも小津さんとのつながりを思います。「豆腐屋には豆腐しか作れねえ」といっていた小津さんの言葉はそのまま山田監督にも当てはまります。

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