映画「不毛地帯」鑑賞2007年12月20日

1976年制作。山本薩夫監督。山崎豊子原作。今から約30年前に起きたロッキード事件があった。1976年は田中角栄首相が逮捕された年でもあった。そんな時代にこの映画は公開された。
 物語は戦前の大本営参謀だった瀬島龍三がモデルといわれる。終戦後ソ連軍の捕虜となり、シベリアに抑留された。題名の不毛地帯とはツンドラ地帯を示唆する。11年のシベリヤ抑留を終えて帰国後商社に入社し頭角を現していく物語。折も折、ロッキードをもじったラッキード社とか、岸信介にそっくりな俳優を出してリアルである。主役は仲代達矢であるが脇役にも大物が勢ぞろいの見ごたえのある映画であった。
 映画の内容は自衛隊の戦闘機購入にからむものであった。今マスコミに出ない日はないほどの事件となった守屋次官の接待事件。自衛隊の装備品の購入に関して商社山田洋行の接待を受けたというもの。構造的には酷似している。あれだけ騒がれたロッキード事件であったが何も改善されていない。それだけに映画はリアリティーがあって3時間もかかる大作であったが最後まで観た。時計は深夜1時30分、ぐったりして布団に潜り込んだ。
 モデルとされる瀬島龍三はWIKIによると1911年生まれで今年9月4日に逝去。享年95歳だった。陸軍大学校を主席で卒業。戦後は政商、武器商人と呼ばれた伊藤忠商事会長、と紹介。映画の近畿商事とは伊藤忠のことか、と思われる。