「日本山岳会百年史」届く2007年04月10日

 JAC100周年記念の事業の一環として進められてきた出版物である。本編、続編、資料編の2巻構成である。内容はそのまま登山の黎明期から始まる。しかしながら地味なものであるからすらすら読めるものではない。

映画「夫婦善哉」鑑賞2007年04月10日

 昭和30年の作品。「雪国」と同じ豊田四郎監督。音楽も同じで團伊玖磨だから何となく良く似ている。
 昭和7年頃の大阪を舞台にした男女の恋愛物語で、「浮雲」のテンポの速さ、「早春」のせつなさ、「雪国」の文芸性を併せ持つ面白さに引き込まれる。
 淡島千影、森繁久弥の主演であるがどちらも滑らかに大阪弁をこなして楽しく展開して行く。「浮雲」では男女の腐れ縁を何処までもひきづって行って最後は死を迎えるがこの映画にはそんな暗さはない。「頼りにしてまっせ、おばはん!」と愛人の淡島に語りかける森繁の絶妙の台詞の応酬。明るいのがいい。以後このコンビは駅前旅館シリーズへとつながって行く。
 淡島千影は大正13年(1924)生まれ、映画は1955年だから31歳の頃。小津作品でも1951年の「麦秋」で好演している。この時は27歳位か。1956年の「早春」では恐い妻の役であったが32歳であった。森繁は1913年生まれであるから既に41歳であったが随分若作りしている感じである。
 淡島千影は今年で83歳であるがまだ現役である。同い年の高峰秀子が50歳代で引退したことを思うとよく頑張っている。その上に若い頃はほんとに個性ある美人であった。着物が良く似合うし洋装も素敵である。宝塚で鍛えられたのであろう。「麦秋」でも1920年生まれの原節子とコンビで輝くような美貌を競う。世評の高い「東京物語」より「麦秋」か「晩秋」が面白い。女優達が生き生きしている。
 脇役として司葉子(1934年生まれ)も出演、森繁の妹役である。ほんとに美しい女優であった。この時は21歳である。1967年の「乱れ雲」では33歳で清楚な人妻の役であった。