西駒山荘からの手紙2006年06月28日

 長野県伊那市役所が経営する西駒山荘の管理人・宮下拓也さんから小屋開きの案内が届いた。といっても私信ではなく多分に営業的なものであるが無数にいる宿泊者からなぜ自分のところへ来信するのかは分からない。全員に出していたら通信費で赤字であろう。
 多分中央アルプスの北部にあって重厚な針葉樹の鎧をまとったような大棚入山から縦走してきたこと、中央アルプス唯一の日本海側の奈良井川源流を遡行してきたことが印象に残っているのであろうか。いずれもこの小屋に泊まったのである。特に奈良井川遡行では小屋開きというのに天気が不順でキャンセルした客が多く、我々だけの貸切になってしまったことがあった。その分親密になった。以来毎年案内が来信する。時には封筒持参で缶ビール進呈ということもあったがついに行けなかった。
 今年辺りは行ってみようか。黒川支流の伊勢滝の遡行もやりたいし。
営業期間は7/8から10/9まで。コマクサの開花を宣伝している。このことはしかし「やはり野におけ、蓮華草」か。人工的に移植された気がして美しくない気がした。コマクサは自然の姿で見たいものである。
 この句を検索で調べると原作は江戸時代の俳人の瓢水の作らしい。手にとらでやはり野におけ蓮華草、というのが原作。知人が遊女を身請けしようとしたのをとがめて送った俳句であった。自己流の解釈であるが、美人で気立てがいい、優しくしてくれる、知人はそのことに惚れ込んで身請けしたくなった。だが待てよそんな女がいるわけがない。多分に営業的に知人に近づいたんだ。身ぐるみ剥がれて哀れな末路を予想した瓢水は機知を含んだ俳句で諌めたのである。
 とまれ自然の中で咲いている花を都会に持ち帰っても枯らしてしまうことが多い。ましてやコマクサのような砂礫でささやかな貧栄養という土壌で生きている植物は尚更であろう。しかし、盗掘が多かったと見えて途絶えてしまった。高い値で取引されたであろう。今あちこちで他で育ったコマクサを移植している。無いものねだりであろうか。

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